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Ω16

『颯爽と去るのではなかったのですか?』

「ゼロ、勝利とは分かち合う物なんだよ?」


 私は歓声を上げてくれるこの防衛拠点の人達や、別の機甲師団の人達に手を振ってる。すると通信が入った。


『助かりました。貴方は第一機甲師団の――』


 そこで私は全チャンネルを開いて誇らしげに言うよ。


「はい! 私は先日第一機甲師団に配属されてこの零号機のパイロットに就任したクリエイト・クーシャネルラであります! 英雄のこの機体が調整飛行中に皆さまの戦闘を感知しましたので助太刀に参りました!」


 さりげなくゼロが感知しましたと嘘を吐いた。それに抗議するようになんかジジーという音が聞こえたが、多分この音はこのコクピット内にしか聞こえてないだろう。


『それは……なんとありがたい。だが、不味いのではないか? こちらには何の連絡もないが?』


 何番の機甲師団の団長さんか知らないが(私は上司になんて興味ない)その人はなかなかいい人の様だ。私の心配をしてくれてる。私はそんな彼にこういうよ。ここにいる皆がきっとこれを聞いてるだろうからね。私は英雄なんだ。


「確かに軍規にのっとった行動ではないかもしれません。ですが力があるのに動かないなんてできませんでした! 仲間が! 戦友が命を懸けてるのに私は見てるだけなんて出来ないのです!!」


 おおーというどよめきが通信越しにもわかる。そして地上の方からは更なる歓声が! そう……これだよこれ。気持ちいい。英雄とはなんとも良い気分なのか。私はとても満足してる。


『ぬ、これは!!』

「どうしました?」


 何やら何番目かの団長さんが報告を受け取ったらしい。するとすぐにこっちにもここの観測班からの通信がはいる。


『バルーン種の後方に待機してたアビッチが動き出しました!』

「アビッチ……そんなのまでいたの?」


 なるほど、確かにこれはヤバイ事態だね。バルーン種は結局先兵だ。油断は出来ないが、そこまでの脅威でもない。それなのに機甲師団を複数集めて配置してるって事はその後方に本隊があると簡単に気づくべきだった。


『クリエイト・クーシャネルラよ、貴殿には申し訳ないが――』

「何を言ってるのですか? 私は既に引く気などありません!!」


 アビッチは種じゃない。いうなれば作り物だ。アンデットといってもいい。この時代、沢山の死が積み重なってる。死体を食う奴らもいれば放置する奴らもいる。流石の上位の種たちも疲れてきたのだろう。屠った奴らの死体を利用しようと考えて作られたのが呼称『アビッチ』という全く新しい兵器だ。


 我々がアンティカという兵器を使ってるのを見て、考えついたと考えられてる。アンティカという玩具を模してアビッチは作られたアンデットの集合体。けどその造形は似ても似つかない。まるでそれは子供が泥団子を作った様ないびつさで、死体を押し固めた様にブロックを作ってくっつけた物だ。頭が三角でその死体に丸い顔がある。胴体は死角で、手足が円柱とこれまた三角のブロックで構成されてる。


 大きさはバラバラでそれこそ数メートルサイズから数十メートルサイズまでいる。今回は一体どのくらいの……そうおもってると、何やらドンドンという音が聞こえてきた。


「え? まさか!!」


 そのまさかだった。数十メートル級のアビッチが走って向かってきてる。奴らが走るなんて聞いたことない!! 通信でいまこの場にいる部隊の指揮を執ってるんであろう団長の声が聞こえる。皆が警戒態勢をとり銃を向ける。


 私は銃に装備がない。だけどマナを抑えるミサイルがある。


「私が先に撃ちます。これで奴の動きを鈍く出来る筈です!!」

『よし、頼む!!』

「ゼロ! 発射!!」


 私はミサイルを発射した。そして赤いマナにアビッチが包まれる。そこに他の機甲師団たちが一斉に引き金を引いた。

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