表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

727/2361

Ω15

『ちょっと待ってください』

「もう何!?」


 私は思いっきりブースターを吹かせて戦場に一混乱をまき散らそうと思ってたのにゼロの奴が強制的に私の操縦をキャンセルしやがった。ガチャガチャと操縦桿を動かしてもうんともすんともいいやしない。


『せめて告知をしてから参加すべきです。既存の部隊が混乱します』

「むう……」

『不満ですか?』


 それは不満だよ。私のプラン的にはこうだった。


「くっ……もうだめだ」


 その時、掬いの一手が!!


「なんだ? どこの部隊だ!! いや、あれは……零号機!!」


 ゼロを操縦して私は迫りくる敵をバッタンバッタンとなぎ倒す!! それを羨望の眼差しで見つめる他の部隊奴ら。そして最後の敵を派手に吹き飛ばすと、私は何も言わずに次の戦場へ……


「「「ありがとう零号機! 流石は我らが英雄!!」」」


 ――完――


「という完璧なプランだったのに、どうしてくれるのよ!!」

『そんな穴しかない様なプランは却下です』


 無慈悲な言葉をゼロが投げかけてくる。こんな完璧なプランなんてないのに何が不満なのか私には理解できない。


『私には今のプランのどこが完璧か理解できませんが?』

「全て?」

『クリエイトは勢いで生き過ぎです』

「寧ろ私には勢いしかないけど?」

『…………評価を改めた方がいいかもしれないですね』


 ヤバイ、ここ最近で一番評価が下がった様な気がするぞ。勢いが大事だって私のお父さんは言ってたよ。勢いがあれば大体何とかなる物なのだ。それは私のこれまでの人生で証明されてるといっても過言ではない。事実、私は勢いだけでここまで上り詰めてるし。


『そう考えると、なかなかに否定できませんね』


 よし、下がった評価がちょっとは持ちあがったぞ。ここから畳みかけよう。まさに勢い!! 理屈っぽいゼロは勢いで詰めれば、案外押し通せるとこの短い付き合いで知ってるぞ。


「そうだよ! 大丈夫だから私を信じなさいゼロ! 私は持ってる女!!」

『とりあえず識別番号だけは通知します』

「ちっ、まあそれは私の存在証明に必要だから許してあげよう」

『なんだかイラっとするという事を初めて知りました』

「さあ、行くよ!!」


 私はゼロの初めてのその感情を無視して再びブースターを吹かせる。今度はちゃんと吹いて私は一気に距離を詰める。二本の剣を抜き、手近な一匹を真っ二つに切り捨てる。攻めて来てるのは固い鱗と飛行能力を持つバルーン種と呼ばれる奴らだ。


 奴らは地上で最大勢力をしてる奴らの先兵みたいなものだ。言い換えれば酷使されてる下っ端といって問題ない。こいつらは別段そこまで強くはない。厄介なのは、再生能力が高い事と、触れたら爆発する事と、奴らの攻撃が爆発系統に特化してる事だ。


 なので私が切ったやつも当然爆発した。けど爆発した時には既に私は距離をとって別の奴を切ってたので問題ない。


「行ける! ゼロの機動力ならいけるよ!!」


 前の部隊でもバルーン種とは戦ったことがあるが、やっかいだった。遠距離から銃弾の雨を降らせていくしかなかったからね。けど爆発が断続的に起きると、どんどんと弾がまっすぐ飛ばなくなるというか、奴らは数も多い。種として増えてる訳じゃなく、どうやら分身というか分裂出来るらしい。だから一斉に爆破させててもしつこく迫って来て最終的には防衛ラインをボカンだった。


 けど、一機が高機動で奴らを翻弄できれば! 私は縦横無尽に見えて、実は色々と狙ってバルーン種を潰していく。そしてある程度の距離を伴った集団を数か所作り出す。そして高度を上げて、見下ろす位置に陣取ると、肩の装備を展開させる。


「一気に決める! ゼロ、ロックオンを!」

『了解。マナ沈静化ミサイル、ロックオン完了です』

「よし、発射!! ――え? マナ沈静化ミサイル?」


 操縦桿の所にあるボタンを押し込んで肩口の装備から無数のロケットが発射される。それは赤い軌道を空にのこしてバルーン種の集団に向かって別れて飛んでいく。私的にはこれで派手に爆発して終わりだったんだけど……どうやら沈静化ミサイルはそういう感じの奴じゃなかったみたいだ。


 直撃せずにミサイルは直前で弾けて赤いマナをまき散らした。


「何あれ !?」

『ですから装備の確認くらいしてください。マナの動きを強制的に沈下させるのです。今のうちに既存の部隊に攻撃の指示を』

「う……うん」


 私はとりあえず通信で今のうちに攻撃するように指示をした。すると案外あっさりと受け入れてくれて集団に向かって集中砲火が浴びせられてる。なんかバルーン種の爆発が起きずに奴らはくたびれたゴムの様にばらばらになっていく。


 そして案外あっさりとバルーン種は駆逐された。なんか思ってたのとは違うけど……


「結果オーライ! 流石私!!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ