表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

726/2391

Ω14

 ゼロで数十分も飛べば国境を超える事が出来る。それもそのはずでアナハイムがあるファイラルは元々人種の領域では端っこの方だったからだ。なんの魅力もなく、敵に落とされたって別段あきらめがつく様な領地だった。それが今や人種の中心である。

 端っこなのに中心……哲学だね。


『また下らない事を考えてますね』

「くだらなくはない。けど私の思考がちょっとは読める様にはなってきてるみたいだね」


 感心感心。ゼロは優秀だから意思疎通が出来れば私はもっともっと強くなれるだろう。


『余計な事を考えるよりも装備の確認をしておいた方がいいと思いますが?』


 ゼロが正論を言ってくる。今は私とゼロの組み合わせでどんな装備がいいか試行錯誤をしてる段階だからね。日によってとっかえひっかえしてるから、昨日と同じ装備だと思ってると痛い目に会うかもしれない。確かに確認は大事だ。


「どうなってるの?」

『クリエイトは直接戦闘したいようですが、私はあくまでサポート機です。出力もワンには及びませんし、破壊力ではセカンドには及びません』

「装備でどうにかなるじゃん」


 確かに今までは元の設計思想から逸脱するような事はきほんできなかったと聞く。一年くらい前まではね。でもエデンという楽園を手にしてから事情は変わったはずだ。ブラックボックスだったフレームの構造が判明して、改修しかできなかったアンティカも改造が出来る様になった。


 そして量産までも……だ。第一機甲師団は役割にとらわれ過ぎだよね。まあ他の師団でも役割はハッキリさせて連携取ってたけどさ。でも固定観念にとらわれる必要はないと思う。


『確かに装備でどうにか出来る所はありますが、変えられない部分もあるのです。それに同じような特徴の機体では部隊の質が偏ってしまいます。それでは様々な状況に対応出来ません』

「だから私にサポートしろっての?」

『サポートも重要な役目ですよ』

「それは知ってるけど……」


 私はどうしても戦場では飛び出したくなっちゃう質なんだよ。目の前に敵がいたらうずうずするし、寧ろどこかに敵がいると思うだけでうずうずするよ。そんな私に『待て』を覚えろと? そんなの前の上司からさんざん言われてこの結果ですけど!?


 まあとりあえず今は一人だし、そんな事を考える必要はないよね。とりあえず確認した装備は腰に刺さった二本の剣に、肩に誘導性ミサイルがある。後は背中についた二本の大きなアンテナの様なもの? これはどうやら戦闘用ではないようだ。気にしなくていいね。


 国境を超えていくつかの拠点を空から巡る。いくつかは町と呼べるくらいには建物が出来てる所もある。まだ国境に近い所はやっぱり発展もはやい。でもどんどんと規模は小さくなって、軍の駐留部隊の数も増えていく。更に数十分飛ぶと、遠くで戦闘の光が見えた。


 ここら辺は最近魔族が別の種とぶつかった場所と資料を盗み……いや拝見した。魔族が追い払い人種が我が物顔するのが定番だが、流石に色々とかち合うようになってきたから、維持するのは大変なんだ。何も人種は好き好んで魔族の勝利をハイエナの様にかすめてる訳じゃない。


 彼らは攻める側、人種は支える側なのだ。魔族だって常に全力で戦える訳じゃない。休む場所も必要だ。でも疲れた時にどこにもそんな場所がなかったら? 魔族は攻める事しか考えないから、人種は急いで魔族の追い払った土地に拠点を建設して彼らを受け入れる準備をしてるんだ。


 ここは既に最前線だから、前に行った魔族達を迂回して別動隊が取り返しに来たんだろう。ここを人種から取り返せば、前に出てる行け行けな魔族達を挟撃できるしね。結構重要な場面だ。


 前に見える機甲師団のアンティカは三部隊分くらいは確かにいる。私は自分の手が震えてる事に気づいた。


『怖いのですか?』

「まさか……これは武者震いだよ。ゼロと一緒に初めての戦闘だからね!」


 私はそういってブースターを全開に吹かす。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ