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Ω12

「暇だ」


 私が正式に第一機甲師団に配属されて既に一週間がたってる。そんな直ぐに出動があるなんて思ってなかったが、出動どころか仕事がないんですけど? 前の所では出動以外にも書類仕事みたいなのがあった。私の場合はアンティカの装備を破壊したりなんてしょっちゅうだったからそれに対する報告書とかによく追われたものだ。


 けどここ第一機甲師団でやる事と言えば装備の確認の為に飛ぶくらい。今は大規模にゼロの装備を換装してるからしょうがないといえばしょうがないが、時間が余ってしょうがない。同僚たちと何か話そうにも同僚の二人は立場上とても忙しいらしく、ゼウスに常日頃からいるのは私くらいだ。


 そもそも最初の初日以外、ここにいるの見た事ない。まああの人たち以外には沢山いるよ。でも皆さん私よりも階級的に上なんだよね。やっぱりここにはエリートが集まってるらしい。そして大抵皆さん忙しそうだ。どうやら他の部隊の支援とかなんとか事務的な事の処理を手伝ってるみたい。


 つまり私以外に暇な奴がいないのである。なのでもっぱらゼロしか話し合いがいない。今日も今日とてゼロと話に行こうと思ってると、何やら深刻そうな話がきこえてきた。


「それは本当か?」

「第三・第四・あと第六機甲師団が向かう予定ですが、魔族の方にも援助を頼む方がいいかもしれません」

「エデンの方は?」

「エデンは今、全部がライブ会場で一週間の特別フェスなる物を開催してるので、避ける戦力はないみたいです」

「あそこは何をやってるんだ」


 頭を抱えてる人の気持ちはよくわかる。あそこは良くわからないからね。まだ戦いだー! って言ってる魔族の方がわかりやすい。それにしても……だ。機甲師団が三部隊も同時に出るなんて……これはなかなかのおおきな戦いだ。何処かの種が攻め込んできたのか? それとも攻めてる側か。


 普段は魔族に攻めるのは任せてるが、魔族は攻め落とした土地を放置するからね。そこに拠点を気づいてるのが人種の側だ。そしてそんな時の防衛線が中々に難しい。これもその類かもしれない。なんかわくわくしてきたぞ。


「あの、その話、もう少し聞かせてもらっていいですか?」

「えっと……エデンの?」

「そっちじゃないです」


 私がアイドルなんて物に興味あると思ってるんだろうか? 確かにアイドルとかはとても可愛いと思う。だが、私がそういうのに憧れるのはとっくの昔に過ぎ去った。そっちじゃないから。


「機甲師団が出るって」

「ああそちらですか」


 そういってその人はちらっともう一人の方をみる。なんかアイコンタクトしてるね。そしていきなり話を切り上げ始めた。


「すみません。そういえば急ぎの仕事がありました」

「そうだな。急がないと」


 二人はそういうとそそくさと去っていく。え? 何? 避けられてる? いや守秘義務という可能性もある。同じ軍の中でも同じ作戦が共有されるとはかぎらない。


 そうなると他の人に聞いても意味はないかもしれない。私は意図的に自分が避けられる事を排除してゼロの所に向かう。


「これから動作検証だし、それを利用すれば……ふふ」


 日常に刺激は必要だよね。毎日毎日、同じことの繰り返しは人を腐敗させていくのだ。だからこれはある種の息抜き。必要なことなのだ。私はそう言い訳してゼロに乗り込む。

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