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閑話16

「うおおおおおおお!」


 大きな岩を持ち上げ、それをなげつける。果敢にもアンティカに向かってきてた兵士たちは手前に落ちた大岩に怯んで動きを止めた。


「降参しろ、勝てると思ってるのか?」


 あれらは小さな領地が合わさって出来た反抗軍みたいなものだ。王家が没落してしまって、自分とキララが人種の頂点に立つことになったが、それらに反対する領地は当然ある。大概はファイラルと双璧を成してたもう一つの領地に付き従う形をとってるんだが、奴らは違う。


 あれは王族の残党みたいなものだ。正しい王に、玉座を戻そうとする奴らの集まりと思っていただければいい。実際、好きでこんな地位にいる訳じゃない。ラーゼと……そしてミリアに担ぎ上げられただけだ。何より結婚なんて……


 今の自分はいらだっている。だからこいつらを潰していいのなら、虐殺だって……だがそんな訳にはいかない。なにせ一応は同胞だ。平和的に解決したい。それに今回の件は僕たちが玉座を奪ったわけではない。向こうの主張はそうなんだが、ちゃんと否定させて貰わないといけない。


 兵士たちも止めたわけだし、ここは一緒に来てたベールに任せて問題ないだろう。ベールの機体は狙撃型だが、人種の身であれば、どうあってもアンティカには勝てない訳だしな。そもそもかアンティカは人種の切り札として名を馳せてたわけだから、その強さは誰もが知る所だろう。


 彼らはきっと絶望してる。まさかこんなに早くアンティカ……いや、自分たちが出てくるなんて思ってなかっただろうから。なにせ今の自分は王だ。王が直接戦場に出るなんて普通はあり得ない。それこそもう後には引けないくらいの時ではないだろうか?


 まあ今初めて王になってるからそこら辺はよくわからないが、歴史をおもいかえしても王が直接戦ったって記録はなかった筈だ。だから自分は歴史上初めての前線で戦う王になるだろう。実際周りはとても煩い。こっちについてきた古い大臣とかだ。


 ついてこなかった大臣たちはきっとこの軍の方にいそうだな。真の王族の復権を狙ってるから老人はこっちを好むだろう。何番目かの王子を担ぎ出して御旗に掲げてるところがね。自分たちの都合のいい存在を引っ張り出して来た感が凄い。


 普通なら第一、第二……はまあいろいろと騒乱の元だからと、色々と話し合い、保証も分厚く身分と名前を変えてもらって出ていってもらったから奴らが担ぐことはできない。だからまあ実際怪しい王族かもしれない奴を担ぎ出して来たんだろうが……本気で勝てると思ってるのか? と自分は思う。アンティカがこうやって来ただけでも詰んでるのに、今のファイラルにはアンティカだけじゃない兵器がある。


 戦力は以前の国の比じゃない。それに後ろ盾には魔族とエデンだ。無理と気づけないのだろうか? それとも目的はもっと別の?


 そんな事を考えながら、自分は奴らの軍を飛び越えて司令部へと突撃した。そこには建物を巧みに切って中の奴らをビビらせる。死者はいない筈だ。建物の中の一室には見覚えのある老人たちがいた。やはりな……だ。そして華美された椅子に座る一人の少年。可哀そうな子がそこにいた。

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