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閑話11

 コランの楽しい一日 7


 

「大っ嫌い……だと?」

「今の王子様は嫌いです」


 私はそうハッキリと告げます。だってこういうのは曖昧にするといけないって言われてます。私たちは変なファンの人への対応もちゃんと習ってるのです。まさに、いまそれが必要な時。この王子様は思い込みが激しいタイプでどうやら自分の中で色々と都合のいい現実って奴を作ってみたいです。


 確かに王子様という立場上、それは大体所で正しいのかもしれないです。だってなんせ言っても王子様ですからね。大抵の事は何だって叶えられてきたんじゃないのかな? でも私は違うのです。そんなお手軽に手に入ると思っては困ります。


 そもそも私は誰の物にもなる予定無いですし、しいて言えば私たちプリムローズはラーゼ様の物です。だからそういう事は私じゃなく、ラーゼ様に言ってほしい。だからってラーゼ様が私をこの王子様に引き渡す事なんてありえないだろうけども。


「私の事が……きらい? 嫌い? そんな馬鹿な……」


 何やら王子様は相当私の言葉が効いたらしく、まだブツブツと何やら呟いてる。正直怖い。確か、こういう人たちは自分の中で都合のいい私たち象を作ってて、それを本当の私たちだと思い込んでるって話だった。そんな説明されても、その時はうーん? って感じだったけど、今、この場この時において私はその意味を知った。


「はっは、そんな嘘ついてもダメぞ」

「嘘じゃないです!」


 私が直接頭に叩き込んだ言葉なんて、幻聴とでも結論付けたのか、既に嘘と認定されてる。ゾクッとした。これが本気でその人を怖いと思うことなんですね。


 私も何回か、命の危機を経験してます。その時も確かに怖いと思いました。けどこれは……なんだかその時とは違う感覚がある。だって嫌悪感がざわざわしてる。


(ううーハッキリ言ったのに……これでもダメな時はどうするんだっけ?)


 直接何かされそうになったら、もう緊急用にと持たされてるカードを使うしかないです。私たちも一応、紋章のおかげで魔法を行使できます。でも所詮は付け焼刃みたいな力です。本物……にはとうていおよびません。この人たち……ルド族の人達がどれだけの力を持ってるのかはわからないけど、私たち程度の魔法はまず効かないと教えられてます。


 使うとしても、最初だけ……その時によほど効果的に使わないと意味はないって。しかも絶対に倒す事に使っちゃだめなの。使う時は逃げる為に……これは鉄則です。


 でもここにはこの王子様だけじゃないルド族の人達がいます……しかも残りは皆大人……にげられるなんておもえない。後はカードしかでも不自然に鞄の中に手を突っ込むのも……怪しい。後は本当の緊急の為の連絡手段……ピアスでの緊急アラートがあります。でもこれを使うと、この人たちが悲惨な事になりそうです。


 まだ特別酷い事はなされてないのに……それは、どうなんだろう? 私は迷います。


「さあ、我ら二人の子を成すぞ」


 そんな王子の一言で私の迷いはなくなりました。

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