閑話8
コランの楽しい一日 4
門番さんに門を開けてもらって外に出る。屋敷の外にだよ。私が出た瞬間、何やら張り詰めた様に皆の動きが止まった気がした。けどそれは私の勘違い? だったのかな? 直ぐにさっきまでの光景になったきがする。けどなんだか皆の見られてるような?
きっと気のせいじゃないんだよね。私たちプリムローズは人気なんだ。私は子供だし、そんな人気あるとは思えないけど、皆はとても綺麗で可愛いからそんな中にいる私も特別扱いされるんだ。その中でもやっぱりラーゼ様は別格だ。
人気も一番で美しさも一番。私の一番の目標ははやっぱりラーゼ様だけど、私が大人になっても絶対にラーゼ様にはなれないよね。それはわかる。
ラーゼ様に「どうしたらラーゼ様みたいに綺麗になれますか?」って聞いたら「うーん、生まれ変わりガチャをすればワンチャンあるかもだけどないかもだねー」とかからかわれた。私の為にあんなことを言ったんだろうけど、よくわかんないよ。
やっぱり人種の身でラーゼ様に近づこうっていうのがおこがましい行いなのかもしれません。でもでも本当にラーゼ様になりたい訳じゃないのです。私だってそんな事が出来ないことくらいはしってるもん。でも、ラーゼ様に「可愛く綺麗でありなさい」って私たちは言われてるから頂点のラーゼ様を目指すのはまちがってないと思う。
「今日もいっぱい勉強させて貰うんだ。決してラーゼ様に甘えたいわけじゃないからね。うん」
私はぽつぽつとそんな独り言を零しながらあるく。小さい歩幅だから皆がをとおりすぎていく。けど気づいた私さっきから誰一人よけてない。これだけ人がいっぱいなのにまっすぐに歩けてる。なんだか皆が道を譲ってくれてるみたいだ。
でも助かった。私は小さいから大人の人達には見えにくいからね。ぶつかりそうになることが結構ある。アナハイムに人が増えてきたときなんてしょっちゅうだったよ。けどいつからかな? そんなの気にしなくなったのは。皆が私を知ってくれてるからかな?
そう思うとちょっと嬉しい。鼻歌交じりに私は歩を進める。すると目の前に一匹の白い猫がヒョコっと出てきた。ざわーーという雰囲気の緊迫感が周囲に走った気がしたけど、私は直ぐに目の前のにゃんこに夢中になった。だって凄く綺麗な子なんだ。
スラっとした手足に、気高そうな顔つき。美人さんである。
「にゃにゃにゃ」
私は通じるとも思えない猫語を発する。それで警戒感を解いて猫に触るのです。けど私が十分に近づいてあと一歩の所で猫が動いた。
「にゃご」
と鳴いたと思ったら私の手をすり抜ける。振り返るといつの間に盗ったのか……その口には私のバックがある。そしてヒラッと重力から解放されたように猫は私のバックを加えたまま壁を上る。そしてそのまま去っていく。
「まっ、待ってよーー!」
私は急いで追いかけた。