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閑話1

 オウラムに戻ってきて半年が経とうとしてる。私たちは事実上、ラーゼの奴に敗北を喫したわけだが、それでも皆は暖かく迎えてくれた。勿論全員がそうではなかったが、殆どの皆は優しくしてくれる。皆がこの時代に行き場をなくした人々が集って出来た場所だ。だからこそ、寄り添う事を知っている。


 あたたかな、私たちの第二の故郷。それがオウラムだ。深い霧に守られた谷と谷の間に出来た空間に私たちは国を作った。太陽が出てても薄暗く、そしてこの霧のせいで、何も見えずに迷い込めば出る事は出来ない……とまで言われてた魔境がここだ。

 そんな危険な場所だが、今やその危険が私たちに降りかかる事はない。なぜならここを危険足らしめてた奴に私たちは認められたからだ。だから私たちはここに住むことが出来る。周りからは霧で隠れてこのオウラムが視認されることはないが、今や、オウラムの上だけは日差しが入る様になってるから快適だ。


 そして空に僅かに違和感を覚えて鎮座するのはアルス・パレスだ。アルス・パレスの修復とかをやったり、ここオウラムと連絡する手段を得る為に危険な場所を行軍したり……本当に大変な思いをした。再びここに戻ってこれた事が奇跡のよう。


 いや、本当に奇跡が何回もあったんだ。沢山の仲間を失ったが、得た物もある。世界争いに満ちていて、種を問わずに悲劇は起きている。だからこそ私たちは寄り添う事が必要になってくる。普通は種というのは閉じた物だけど、それだと滅びゆくしかない者達がいるんだ。


「ティルちゃん、どうだいこれ? 取れたでだよ」

「いい感じですね」


 狩ってきたばかりの動物が皮をはがれてつるされてる。新鮮な物が丁度入ってきてたようだ。狩りの人達が速めに戻ってきたのかな? 私は少し悩んでつるされてた肉の一つを買った。作ったばかりの国だが、ちゃんとお金がここには流通してる。ライザップを参考に色々とやってるのだ。


 小さな集落の間なら物々交換でもよかっんだけど、種はそれぞれに価値を見出すものが違うんだ。そうなると……ね。同じ所で暮らすとなるとそれでは問題も多かった。だから金銭取引を導入したんだ。お金という共通の価値の物があれば、物の取引がスムーズにいくからね。


 けどやはり最初はやはりお金の概念なんて物をわかってもらうのがなかなかに大変だった。大体種単位でいるからこういう問題は起こりにくく、更にある程度数が多くないと、そんなものの発想がでないからね。


 私は肉やら他にも荷物を持って一つの家に入る。二階建ての小ぢんまりとした家だ。荷物を置いて部屋を見渡す。


「はあー」


 私は深いため息を吐いて上への階段を上る。そして扉の前に立ち、その扉を開いた。


「ラジエル! いつまでふて寝してる気ですか? 貴方はこの国の代表なんですよ!」


 私はベッドの上で布団にくるまってもぞもぞしてる奴にそういった。

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