ファイト! かりんの青春日誌(66/88)PDFで表示縦書き表示RDF


ファイト! かりんの青春日誌
作:天野美里



離の章 押忍! 空手少女


 翌朝、学校で――。
「おはよう!」
 教室に入ってきたさゆりは、先に登校していたかりんに声をかけた。
「おはよう」
 かりんは返した。
「受験勉強のほうはどう? 希望の大学、行けそう?」
 さゆりが席に落ちつくと、かりんがたずねた。
「わからへん。でも精いっぱいやってる」
 軽くため息をつき、さゆりが答えた。
「大学に行っても少林寺拳法部に入るのやろ?」
 かりんがさらに質問を重ねる。
「まあ、ほんまに受かったらの話やけどね」
「さゆりやったら受かるやろ。賢いもん」
「ありがとう。そういってもらえると、めっちゃ励みになる。で、かりんのほうはどうなん? うまくいきそう?」
「全然ダメ。受けるオーディション、全部落ちまくり。自信なくすわ、ほんまに」
 今度はかりんがため息をつく番だった。
「……そう」
 さゆりは返答に困ってしまった。
「あっ、そうそう。インターネットでこんなオーディションを見つけてんけど――」
 一瞬の間のあと、さゆりは思いだしたようにかばんから資料を取りだし、かりんに渡した。
「えっ、なになに? 『押忍! 空手少女』……」
 かりんはオーディション名を読み上げた。
「うん、空手をやる女子校生のドタバタ・ラブコメディーなんやけど、かりんにぴったりや思て」
「へえ、なんやおもしろそう」
「でしょ? 主演は超人気アイドルの川村みゆきなんやけど、オーディションは主役の親友役を選ぶためにあるらしいんねん。かりん、応募してみたら?」
「うんうん」
 といい、あとはさゆりがなにを話しかけても気づかないほどに、かりんは資料に見入ってしまった。
(これや――。これしかない)
 かりんは胸が苦しくなるぐらいにドキドキしていた。これはまさに自分のためにある映画ではないか。かりんは確信にも似た気持ちを味わっていた。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう