3話
「おぉう」
思わず声が漏れた。
湖だ。
陽の光を反射して薄く煌めく、広大な湖が目の前に現れた。
「丁度いいや、ここで一休みして行こう」
夢の中で一休みってのも、おかしな話ではあるが。
しかし、本当にリアルな夢だ。本物と見間違うほどのそれは、すくってみると本当に冷たく、手が凍るようであった。
その冷水で顔を洗う。
「っぷは」
かき氷を食べた後のような清涼感が顔面を覆い、目がすっきりと覚める。
……夢の中で目が覚めるってのも、おかしな話ではあるが!
「……そういえば、夢の中で水が出てきたら、それは則ち現実でおねしょをしているって事だと誰かが言っていたな」
………………。
中二ってレベルじゃねぇな。
幼児だわ、幼児。
「うおおぉぉぉ!覚めろ!早く覚めろ夢!今ならまだ間に合う!早くしろ!間に合わなくなっても知らんぞー!」
湖のほとりで、頭を抱えながら絶叫している、顔がびしょびしょの男。
その光景は、端から見たらそれはもう怪しさマックスハートな訳で。
「……あのー、何してるの?」
「ここからが本当の……ぉ?」
声のした方を見ると、そこには黒を基調にした服装を見に纏った、一人の……
「少年が」
「ボクは女だよ!」
少女が居た。何やら怪しげな触覚と、昆虫系の羽を携えて。
「ねぇ。ここらへんじゃ見ない人だけど、誰?人里の方から来たのなら、この辺は危ないよ」
そう問う少女。誰と申すか。
「ああ、俺は」
本名を名乗りそうになったが、ふと思い直す。
ここは俺の夢の中。
そんな異空間で、果たして普通の自己紹介をしてもいい物だろうか?否、断じて否だ。そんな事をする奴は、吉野家に行って牛鮭定食でも頼んでなさいってこった。
「俺か、俺の名は……」
バッ!
「わ!」
突然屈んだ俺に驚いた様子を見せる少女。よし、つかみはオッケーだ。
そのまま動きを激しくする。
バババッ!
「あ、あわわわわ」
少女は驚きのあまり、後退りしはじめた。ふん、所詮は地球人最強ごときの存在よ。
そのまま、右手を前に突き出す!
「………………」
クリリ……いや、少女は、もはや一言も発せないようだった。
ここで決め台詞を一発!
「あどけない子供を付け狙う男、スパイ〇ーマ!」
間違えちゃった。
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