2話
森だった。
「………………」
えぇと。
とりあえず、何だ?
そうだ、現状を確認しよう。
家でいつも通り、この世の不備を嘆いていたら、突然空中に、
──裂け目が出来て、
──女性が出てきて、
気がついたら、ここにいる。
鬱蒼とした森の中の大木に背を預け、佇んでいる。
「なんだゆめか」
驚かせるなよ全く。いつどんなトンデモ世界が訪れても対処できるよう、それなりの心構えはあったはずだ。それがいきなりもっとも実現レベルの低い異世界とは、さすがの俺も引くわ。
「……それにしても、高三にもなってこんなメルヘンな夢を見るとは」
俺というやつは、いくら表面では大人ぶっていても、深窓心理の方ではまだまだ子供のようだ。
………………。
「起きよう」
いつまでもこんな暗い森に居たら、気が滅入ってくる。
こう言う時の常套手段といえば、やはり頬の肉を引っ張り、その刺激で目を覚ますことであろう。
頬をつねり、目を開ければほらそこは既に茂々と育った樹木に囲われた俺の部屋
「起きれてねえな」
変わらず周りは森林であった。
何度もつねるが、効果はない。
「どうしろってんだよ、発狂鳥人間にでも会えってのか?」
何せ、こんなに鮮明な夢の世界に留まった経験など全くない。目覚め方など知る由も無いのだ。
「……その辺散歩でもするか」
仕方ないので、自然に起きるまでこの辺りの散策でもすることにした。本当はこんな中二的夢など、一分一秒でも見たくないのだが、他にやることも無い、本当に仕方なく、だ。
「ワクワクなんかしてねぇぞ」
そう誰に言うでもなく、呟いてから、歩きはじめる。
……とうとう、エフェクト捜しの様相を呈して来たな。
せめて包丁が早く見つかることを祈りながら、散策を開始するのであった。
もう一度言っておこう。
ワクワクなんてしていない。
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