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  東方起承転 作者:紅山車
1話
人は変化を求める生き物である。

一見すると歴史上の偉人が残した名言のようにも見えるが、なんて事はない。一人の人間としての存在でしかない、俺自身の言葉である。過去に誰かが残しているかもしれないが(何せ、名を馳せた偉人など、大小合わせて数え切れないほど存在する)、それはまあ置いておくことにする。
さて、俺、前多孝一は、自身が残した名言ともいえない名言に漏れる事なく、変化を求めた。まあ、そうでもなきゃこんな言葉を言ったりすることもないだろうし。
退屈を嫌い、平穏を嫌い、普通を拒否した。
改革を望み、変化を望み、異常を快諾した。
無論、たかが一高校生の、しがない理想論である。俺のような考えを持っている、同年代の者など、掃いて捨てるほど居るに違いない。
ふと、この平和ボケした街に爆弾でも落ちないかな、と考えたり。
自分は普通のサラリーマンなんかにはなりたくない、と考えたり。
普段の生活とは一線を画した、異次元・異世界に行きたい、と考えたり。
本気で考えているわけではない。高校三年生になった今では、薄々どころか濃々(というべきかは知らないが)勘付いている。
自分は特別ではない。
爆弾もUFOもきやしない事。
中小企業のいちサラリーマンとして、満員電車に揺られて過ごす未来。
異次元・異世界? 何それ、どこの中学二年生だよ。
いち高校生は、いち大学生となって、いち社会人となって、いち老人となって、いち死人となって、終わるのだ。
これが、十八年かそこら行きてきた中での人生経験値によってレベルアップした際に得た、この世の仕組みという名のスキルだ。
実際、その通りなのだろう。この世は、実にうまく出来ている。
事実は小説より奇なり、という言葉は、嘘っぱちなどではない。今人類が生存している地球の存在からして、既に奇跡のようなものだし。小説だって、元は人間から生み出されているものなのだから。
『奇』な小説は、それよりも『奇』な人に生み出されている。
『奇』なしに、『奇』は生まれない。これは人類が生み出した、全世界共通の理だ。

──なら、変えればいいのよ。

突然、眼前に現れた彼女は、あろう事かこんな事を言い出した。

──『奇』は、何も『奇』のみを生み出すものではないわ。
どういう事だろうか。理解できずに、何も言わないでいると、
──『奇』というマイナスには、もう一つマイナスを掛けてやればいいのよ。
もう一つの──マイナス。
それは一体何だ?
──それは、『貴方』。
退屈、これは元々、平和というプラス。
改革、これは元々、異常というマイナス。
奇妙には奇妙を。
猛毒には猛毒を。
プラスには、更にプラスを。
マイナスには、更にマイナスを。
──丁度、役者が足りないと思っていた所なのよ。そこは魑魅魍魎のうごめく『奇』の世界。
さて、貴方はどちらかしら?
−×+=−。
−×−=+。
『奇』には到底敵わぬ『和』か。
『奇』を打ち負かし、『和』を生み出す『奇』か。
彼女は妖艶な笑みを浮かべ、宣告する。
「ようこそ、幻想郷へ」

ふわり、と身体に伝わる浮遊感。その瞬間、俺は、落ちていた。
俺の耳には、彼女の言葉が残る。
「それとも……『奇』は既に『和』に成り得ているのかしら、ね?どちらにしろ、貴方は──」
ぶちり、という音とともに、穴が塞がる。
俺はそれを見ながら、ひたすら流れに任せ、落ちていった。
『和』なのか『奇』なのかわからない世界に。
『和』なのか『奇』なのかわからない自分が。

和は、未だ出そうにない。

挿絵(By みてみん)
初回ということで、とりあえず後書きなんぞを。紅山車です。カープファンです。この度はこのような小説をご覧頂き、誠に有難うございます。文字数少ないのは仕様ではなく、ただ単に私の力不足です。メールで書いていると、集中力が持続しないんです。殴ってください。とりあえず今回は初回ということで、こんな感じで締めましたが、基本私はおちゃらけますので、この先は馬鹿っぽい感じになること請け合いです。ご了承ください。


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