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孤独が友達
浦賀源内は、電話を切った。
「作ってくれるって。」
「それは、良かったわ。」
「あっ、そうだ!ぽんぽこ狸だったね。ちょっと待ってて、今持ってくるから。」
「はい。」
浦賀源内は、家の中に入って行くと、すぐに出てきた。持ってきた物をテーブルに置いた。
小さな紙の箱と、音楽プレーヤーだった。
「大丈夫だよ。ちゃんんと動いたよ。」
彼は、ぽんぽこ狸を箱の中から出した。大きさは、手のひらくらいだった。
「可愛いわねえ。」
「可愛いでしょう。」
「どうしたら動くの?」
「音楽を聞くと、お腹を叩きながら歩き出すんだよ。」
浦賀源内は、プレーヤーを鳴らした。ぽんぽこ狸は、お腹を叩きながら動き出した。
「わ〜〜、面白いわ〜!」
「曲に合わせて、お腹を叩くんだよ。強く叩いたり、弱く叩いたり。」
「リズムに合わせて?」
「そうだよ。」
「そうなの。凄いわねえ~。」
若者も、びっくりしていた。
「よくできてるなあ〜。」
浦賀源内は、芝生を指差した。
「あれで運ぼうか。」
スミレちゃんと若者は、指差す方向を見た。ロケットだった。
スミレちゃんは、首を傾げた。
「あれで?」
「あれに乗せて目的地まで飛ばすんだよ。」
「大丈夫なの?」
「大丈夫さ。目的地の上で逆噴射しながら降りるんだよ。」
「ふ〜〜ん。」
「荷物を降ろしたら、自分で帰ってくるんだよ。」
「ほんと?」
「ほんとだよ。」
「危ないから、そんなのいいわ!自分で運ぶわ。」
「ちっとも危なくはないよ。まだ三回しか失敗してないんだよ。」
「やっぱりね。」
「なんだよ、やっぱりとは?」
「危ないから、自転車に乗せて行くわ。」
「あっ、そう。」
スミレちゃんは、浦賀源内の顔を見た。
「浦賀源内先生に、質問があります。」
「なんだね?」
「科学に関する質問ではなくっていいですか?」
「ああ、いいよ。」
「人間に関する質問です。」
「何でもいいよ。分からないかも知れないけど。」
「人間の馬鹿と利口を見分けるには、どうしたらいいでしょうか?」
「そんなことは簡単だよ。」
「え〜〜、ほんと~!?」
「頭の悪い人間は、感情で話すけど、頭のいい人間は感情では話さない。」
「なるほどね。つまり、感情がないってこと?」
「そうじゃなくって、感情を交えると、話がこんがらがるだろう。だから、感情をコントロールして抑えているんだよ。」
「そうですか。」
「馬鹿は、そういう高度なことができないから、すぐに怒り出して口喧嘩をするんだよ。」
「な〜るほどね。怒る人は、頭が悪いのね。」
「まあ、そういうことだね。」
「な〜〜んだ、簡単だったわ。」
「そんなことは、誰でも知ってるんじゃないの。」
「そうかしら。」
浦賀源内先生は、急に怒り出した。
「馬鹿で悪かったな〜!」
スミレちゃんは、びっくりした。
「どうしたの!?」
「こういうふうにね、すぐに怒り出すんだよ。」
「な〜〜んだ、芝居だったのか。」
「びっくりした?」
「ちょっとね。でも、嘘っぽかったわ。」
「ああ、そっか。本気で怒るのは難しいなあ〜。」
「先生には無理よ。奥さんにも怒ったことないんでしょう?」
「まあね。」
「そういえば、奥さんや娘さんは、どうしたの?」
「ハワイに行ってるよ。」
「先生は行かなかったの?」
「そんなところには、用は無いよ。それぬ、人の多いところは嫌いなんだよ。」
「たまには、遊びに行ったほうがいいんじゃない?」
「わたしは、ここで、こうやって孤独に試行錯誤してるほうが楽しいんだよ。」
「しこうさくご?」
「ああでもない、こうでもないと、頭のなかで考えること。」
「それが楽しいの?」
「ああ、色んな楽しいアイデアが浮かんできて、とっても楽しいよ。」
「やっぱり、凡人とは違うわね。」
「そうかなあ。」
「違うわ。きっと、孤独が友達なのね。」
「うまいこと言うねえ。詩人だねえ。」
「そうかしら。」
「お父さんに、よろしくね。」
「はぁい。」
「お昼のニュースで、頭脳警察が明日から、社会や環境に迷惑をかける人間の取り締まりを強化するて言ってたよ。」
「そうなの。」
「抵抗すると、問答無用に狙撃されるらしいから、近寄らないほうがいいよ。」
「分かったわ。」
一平が、驚いたような表情でた尋ねた。
「狙撃ですか!?」
「ああ、そう言ってた。」
「まったく、やることが滅茶苦茶だなあ。」
「狙撃と言っても、ゴム弾だよ。」
「ゴム弾でも、当たりどころが悪かったら死にますよ。」
「ああ、そうなの?」
スミレちゃんだけは、不気味に微笑んで、にこにこしていた。
「世の中が平和になって、とってもいいことだわ。」
「やりすぎだよ。」
「きっと、多くの人が、いいことだと思っているわ。」
「そうかなあ?」
「隣のおばさんも、迷惑をかける人間のクズは、殺せばいいって言っていたわ。」



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