涙色。縦書き表示RDF


涙色。
作:Maria


「卒業生代表、上地麻衣。」


さようなら。
そうして私たちはまた、歩き出すんだ。
明日という新しい、キラキラと輝く日々へ向かって。



「寂しいね。今日でこの学校ともお別れかぁ。何かあっという間だったよね。」



優羽(ゆう)がぼそっと呟いた。
私たちは、今日この学校を卒業する。
この3年間、あっという間の時間の中にも本当に、数え切れないくらいの毎日があった。



確かに、そこに私たちは居た。
涙の告白も、笑って騒いだ教室も、今じゃどれも大切な宝物だ。
あんなに眠かった授業だって、今ならもう1回受けてもいいかななんて思ってしまう。



「やっぱり嫌だよー卒業なんてぇ。やだやだぁ〜麻衣〜!!」



いつもは涙なんて見せなかった優羽が、今日だけは朝からずっと泣いていて、いっつも泣き虫だった私が、今日は優羽を抱きしめてる。
何だかおかしな話だ。
だけど優羽があまりにも泣きじゃくるから、私はとってもおかしくなって、笑った。



「変わらないよ。卒業しても一緒だよ。みんなだって。またすぐ会えるよ。」



私たちはみんなで、そうだねって言い合った。
「またいつでも会える」
この時の言葉に嘘はない。
いつかそんな言葉は、遠〜い昔の懐かしい言葉に変わってしまったとしたって、今この瞬間だけは嘘なんかじゃない。
私たちがここで過ごしてきた青春の日々が真実(ほんとう)だったって、今だけは信じていたいんだ。



「ほらーお前らそろそろ体育館行きなさい。式始まるぞ〜。」


時間だ。



「ねぇ麻衣。言わなくていいの?木村先生にさ。」


淡い恋心。



「優羽こそ、あきら君にちゃんと気持ち伝えてきなよ。」


切ない乙女心。



「じゃあ…また式でね!!」


そうして私たちは別れた。
式が始まるまであと20分。
この3年間分の想いを伝える。






♪キーンコーンカーンコーン♪



「卒業生、入場!!」



吹奏楽の演奏する卒業メロディーに、ママやパパたちの大きな拍手の中を、一歩一歩それぞれがそれぞれの想いを胸に歩いてくる。



私は忘れない。
もう会うことはなくなったとしても、いつか今が何十年も昔のことになったって、この学校で、ここにいる仲間たちと過ごした毎日を、私は絶対に忘れません。
卒業は寂しいけど、この先の未来は明るいことを信じて、悲しみの涙ではなく爽やかな涙で、旅立っていこうと思います。



「卒業生代表、上地麻衣。」



ーーーー☆


「ありがとう上地さん。卒業しても頑張って下さいね。」



淡い恋心が終わった。



ーーーー☆


「第2ボタンちょうだいよ。あきらの第2が欲しかった。」



切ない乙女心が一歩前進…か?



桜の花びらが空に舞う。
私たちはみんなで手をつないで、ジャンプした。
最後に、青春らしいことをしたいと思ったからだ。



「せ〜の!!卒業、おめでとーう♪」



桜の花びらと一緒にどこまでも、青く広い世界(あした)へどこまでも高く高く飛んでいけますよ〜に!!














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう