ザーザーザー。
てるてる坊主が「無念」という表情をしてぶら下がっていた。
精二は、自室でふてくされていた。
「精ちゃん。目が険しいネ」
蘭子はコーヒーを一口すすった。
「気にしなくていいのに・・・・」
精二は、いまいましい、といった目つきで、窓の外の土砂降りを眺めながら、パソコンのキーを叩いている。
「だって、だって、初デートは、ねずみーランドって、ずっと前から決めてたんだ! なのに、なのに、なんで、オレの部屋やねん!」
精二のパソコンの中には、初デートをどういう風にしようという企画書が山ほど入っている。
「計画が台無しだよ!」
大声を出したので、てるてる坊主がビックリして飛び上がった。
「これはこれでまったりできていいと思うけど・・・・」
「でも・・・・」
「じゃー精ちゃんは、初デートはどうゆうことがしたかったの?」
「うんとネ・・・・えーっと」
精二はキーボードを叩いて、デート・プラン第一章のページを開いた。
「うん! まずネ、駅前で待ち合わせだろ。ほんで、オレ、遅刻するんだ。ほいでさ、蘭ちゃんがカンカンに怒って・・・・」
「・・・・ワールドに入ってるネ・・・・」
蘭子がやれやれという顔をしてる。
「いいじゃん! そんでさぁ、怒る蘭ちゃんの手をムリヤリ握って改札口に向かうんだ。男らしいだろ?」
ふふふ、と蘭子は笑い、精二のうしろにまわって、マウスをつかむ彼の手の甲の上に、そっと、自分の手のひらをかぶせた。
精二はドキッとした。
「ら、蘭ちゃん・・・・」
「ようは、手を握りたかったんでしょ?」
「う、うん・・・・」
「で、デートの最後はどうするつもりだったの?」
「うん・・・・」
精二はドギマギしながら、キーボードを叩く。
「最終章、最終章・・・・あ、あった。最後はね・・・・うわ、オレ、こんなこと考えてたのか!」
蘭子がうしろから、パソコンの画面をのぞく。
ほんのり石けんの匂いがする。
「ふふふ。精ちゃんもやっぱり男の子ねぇ・・・・」
そう言うと、蘭子は精二の・・・・・!
ザーザーザーザー。
てるてる坊主は思わず顔をそむけた。
ザーザーザーザー。(了) |