ザザー…ザザー…ザザー…何処からかの波の音で目覚めた、
…ここは何処だ?
目の前には一面の砂浜と見渡すかぎりの海、
後ろには山、
…
脳が急速に活動を始める、
…
ダメだ、わからない、
ここは何処だ?
…まず、俺は誰だ?
…
…?
頭がぼやける…
…
…喉が渇いた、
水…
俺は、とりあえず、水を探しに森の中に入っていった、
…ガサッガサッガサッ、
森は、何処にでもあるような、一般的な、森だ、
…
…?
何処からか水音がする気がする、
…とりあえず、俺は水音の方向に向かった、
…あった、
小さな…川だ、
川は比較的簡単に見つかった
…
ゴクッゴクッゴク、
とりあえず、一気に水を飲み一息つくと、まず自分の状況を整理することにした、
…
…わからん、
とりあえず、自分の恰好と荷物を確認する、
至って普通のTシャツに至って普通のジーパン、至って普通のスニーカー、
至って普通の財布、至って普通の携帯電話、
…電源は入らない…
壊れてるのか、
財布を確認してみる、
紙幣は…無い、
小銭が…数枚、
他には…地味な至って普通の猫がプリントされているテレフォンカード…ただし、度数はあまり残ってないようだ…
どこかのスーパーのレシート、
これだけだ、
身分を証明出来るものは、なにも、無かった、
…
とりあえず海岸に戻ってみよう
…
海辺にはなにも無い、
なにも、
ゴミさえ、も、
…
どうしよう、
…
悩む、悩む、悩む、悩む、悩む、悩む、悩む、悩む、悩む、悩む、
…
状況がわからん、仕方ない、
腹が減った、食料を探そう、
火が無い今、海のものは食べれないだろう、
俺は、森に入った、
…見つからん、全く、
そう、都合よく木の実等なっている筈も無く、
当然、俺に食べられる植物がわかる筈も無く、
…腹が減った、
俺はどんどん山道を登っていった、
…ん?
どうやら頂上についたらしい、
坂は急では無かったとはいえ、一体いつのまに?
…
一瞬でそんな思考はどうでも良くなった、
海。
見渡すかぎりの…海、
…間違いなく、ここは絶海の孤島、
まぁ、ある程度覚悟していたこととはいえ、
やはり、実際に見ると…
…俺は無言で下った、
まぁ、独り言をいっても仕方ない、
とりあえず、食べられそうなものは片っ端から試した、
大半は食べられる味では無かったが、いくつか食べた、
翌日、火を起こした、
一日かかった、
木の枝を使って釣り竿を作った、
針なんて上等なものは無い、テレフォンカードを曲げなんとか代用した、
なんとか、二匹、釣れた、
島を探索した、
なにも無かった、
敢えて上げるとするならば、住めそうな洞窟を見つけた、
こうして、日々は過ぎていった、
日が出て、沈み、昇り、沈んだ、
時は過ぎた、
俺は生きていた、
海で魚や貝、海草を取り、
山で果実を探し、食べられる草や山菜を採り、
生きていた、
ずっと、
長い間、
どのくらい経ったかは知らない、
もはや、興味も無い、
ただ、生きた、
砂浜に、昔、書いた、
SOSも、もはや、意味を成さないだろう、
そうして時は過ぎた、
ある日、島に、船が、現れた、
船は、ボロボロのTシャツとジーパンをはき、何かの板を大切に持っていた男を、救助、した、
男は、なにも、喋れなかった、
喋ろうとしている様子は見受けられた、
だが、なにも、喋れなかった、
男は、暴れ出した、
理由は、わからない、
船は、男を持て余した、
はっきりいえば、邪魔だ、
船は、男を、海に、沈めた、
男は、深い海の中に、徐々に、沈んでいった、
やがて、男は消えた、
男の、全てが、消えた、
船員は、男の持っていた板が浮いて来たことに気付いた、
船員は、不審がりながらも、面白半分で、引き上げた、
板を調べてみると、何かが書いてあるようだった、
そこには『死にたくない、もうすぐ言葉は忘れる、俺が俺でなくなりそうだ、頭がおかしい、俺は少しでも、人間であったときの証拠を残したい…』
と、消えそうな文字が彫ってあった、
船員は男の執念を感じ恐怖した、あいつは…もはや、言葉さえ失ったというのに…最後まで人間で居たかったのかと、
船員は数年後、島を訪れた、
船員は洞窟を見つけた、
そこには…男の文字だろうか、
一面に、
死にたくない、人間でいたい
と、書いてあった、
帰りに、船員は、男を沈めた場所に向かった、
そこで、花を投げた、
船員は、そこで足を滑らせてしまった、
船には船員以外に人は居なかった
救命具もなにもつけていたかった船員は、沈んでいった、
最後に、船員は、
死にたくない、人間でいたい
と、聞いた気がした。 |