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No,25 迷子と子供嫌い
「困った。非常に困った」
 私は勝手に玄関から中に入り、家主を捜していた。
 しかし、どこにも目的の人物がいない。
「くそ、こんな時にどこに行った!」
 こんな時の為の弟だろうが。
 私は見つからない為か段々と苛ついてきた。
「ここかっ!」
 私は最後に思い当たる部屋を開けた。
「くか~」
「にゃ~」
「す~」
 三人仲良く昼寝をしている大河と鈴、優燈を見つけた。
 大河は壁に体重を預けて寝ていて、優燈は頭を弟の肩に寄りかかりながら目をつぶり、そうして、鈴は大河に膝枕をしてもらって体を丸くしていた。
「くか~、・・・・・ん、誰か来た?」
 気配を感じたのか大河が目を覚ました。
「私だ」
 私は大河達の前に仁王立ちをしている。
「あれ?姉さんどうしたの?珍しいね。自分から来るなんて」
「そうだな。まあ、とりあえず。一発殴らせろ」
「え?」
 私はその状態にムカついたので寝起きの大河をとりあえず殴っておいた。


「それで一体どうしたの?」
俺は右側の頬を氷嚢ひょうのうで冷やしながら聞いた。
「ああ、実は厄介な者を拾ってしまってな」
 揚羽は緊張した面持ちで俺に言ってきた。
「厄介な者?」
「説明するより見た方が早いと思う。おい、入って来い」
 揚羽が呼ぶと、部屋のドアが開き、一人の女の子が顔を出してきた。
 女の子の見た目からして六歳ぐらいかな?
「姉さん」
「ん?」
「子供を誘拐してきちゃダメだろ」
「誰が誘拐するかっ!」
 今度は左頬を殴られました。
「いててて、じゃあ、隠し子?」
「私はまだ処女だ!」
 そんなことを大きな声で言わないでよ。
「冗談はこれぐらいにしておいて」
「私には冗談に聞こえなかったな」
 そんな怖い顔で睨まないで。
「それで、その子はどうしたの?」
「だから拾った」
 そんな堂々と言わないでよ。
「俺的には何故拾ったのか説明してほしいんだけど」
「あ、そうゆうことか。実はここに来る途中で、鳴き声を聞いたもんで、周りをみたらそいつが泣いていた。それで、話しかけたら道が解らないと言ってきたので。お前の所に連れてきた」
「おい、俺の所じゃなくて警察に連れてけよ」
 どうやったら、道が解らないからって俺の所に連れて行く考えに至るんだ?
「まあ、気にすんな」
「気にするよ!それで、その子の名前とか聞いたの?」
「いや、まだだ」
「聞いておいてよ」
「大河、一つだけ言っておく」
「ん、何?」
 とてもくだらないことだと思うんだけど。
「私は子供が苦手なんだ!」
「威張っていうことか!たく、子供の家を捜したいから手伝えって言いたいんでしょ」
「うん。まさにその通りだ。それで手伝ってくれるか?」
 前からそうだけど姉さんは苦手なことがあった場合、いつも俺を巻き込むよな。
「はぁー、わかったよ。手伝えばいいんでしょ」
 でも、断れない俺がいる。どうせ、断ろうとしても強制的に手伝わされるので意味がない。なんか悲しいな。
「それじゃあ、そこの君、ちょっとこっちに来て」
 俺はずっとドア越しからこっちの様子を眺めている女の子を呼び寄せた。
「お兄ちゃん。怖い人?」
 女の子は揚羽の背中に隠れながらこちらを見てくる。
「怖い人じゃない。俺はそのお姉さんの舎弟。つまり弟みたいなもんだよ。それで、君の名前を教えてくれないかな?」
「・・・壱草千鶴ちづる。六歳です」
 千鶴は小さい声で言ってきた。
 壱草?あれ?どっかで聞いたことがあるな。
「お兄ちゃんのお名前何?」
「お兄ちゃんは琥牙大河っていうんだよ」
「大河お兄ちゃん。お姉ちゃんは?」
 姉さん、まだ、挨拶してなかったのかよ。
「ん、私か?私は揚羽だ」
「揚羽お姉ちゃん。うん、覚えた」
 千鶴は何度も交互に名前を言って覚えてくれた。
「それで、千鶴ちゃん。千鶴ちゃんはなんで迷子になったの?」
 とりあえずいろいろと情報を手に入れないとな。
「虹を見つけて、それを追っていたら解らなくなっちゃった」
 あ~、典型的なパターンだな。
「虹を見つけた時って誰かと一緒にいた?」
「ううん。一人でお散歩中だった」
 それじゃあ、好奇心で虹を追っかけて道が解らなくなったんだな。まあ、虹を追っかけていたんだからずっと上を見ていたことだし、道が解らなくなったの頷けるな。
「どうだ?この子の家を見つけられそうか?」
「今の情報で見つけられたらすごいよ」
「そりゃあ、そうか。まあ、わかったら教えてくれ」
 揚羽はもう他人事みたいに人の部屋を勝手に漁り始めた。
「それで、千鶴ちゃん。千鶴ちゃんは家の電話番号とか知らない?それか、迷子になったらこれを渡しなさいって言われていた物とかはある?」
「ごめんなさい」
 千鶴は悲しそうに言ってくる。
「ないか。こりゃあ、困ったな」
 これからどうしよっかな。とりあえず、姉さんが千鶴ちゃんを見つけた所に行ってから、決めるか。
「ちょっと、姉さん」
 俺はこれからの計画を考えて、揚羽の方を見た。
「ん?なんだ?わかったのか?」
 そうしていたら、揚羽は何故か人のアルバムを勝手に取り出し、それを見ていた。
「なんで、そんなものを見ているの?」
「いや、つい懐かしくて。特にこの写真が」
 揚羽はアルバムから一枚の写真を取り出し、俺に見せてきた。
「うわ、嫌な記憶の奴だ」
 その写真は、去年の文化祭の時に揚羽たちのクラスに行った時に、揚羽に無理やり女子用の制服着さられ、揚羽たちと一緒に撮った奴だ。
「なんで、これがここにあんの?」
「大方、優燈がやったんじゃないのか?」
 うわー、容易に想像がつくな。
「あ、奈絵お姉ちゃんだ?」
 千鶴は写真を覗きこみながら言ってきた。
「え?千鶴ちゃんって奈絵さんと知り合いなの?」
「知り合いじゃないよ。奈絵お姉ちゃんは千鶴の家の一番上のお姉ちゃんだよ」
 つまりそれって、奈絵と姉妹ってことじゃないか。
「あ、そう言えば奈絵のやつ、名字が壱草だったな」
 揚羽は今頃になってその事を思い出したらしい。
「今頃思いださないでよ」
 一応、それでも親友なんでしょ?
「それじゃあ、千鶴を奈絵の家に連れて行けばいいんだな」
「ん、まあ、そうだね。それじゃあ、後はがんばってくれ」
「何を言ってんだ?お前も一緒に行くんだぞ」
 揚羽は当然の事ばかりに言ってくる。
「はい?」
「さっきも言っただろ。私は子供が苦手なんだ」
 そう言って揚羽は千鶴を肩車し、無理やり俺に上着を着させて外に連れ出した。
 子供嫌いなのになんでわざわざ肩車するかな?
 俺は連れだされながらそんなことを思ったが。
「きゃははは。高い高い」
 まぁ、いっか。
 千鶴が喜んでいたので、よしとした。


「あー、疲れた」
「お疲れ様。しかし、奈絵さんすごく心配していたね」
 俺と揚羽は千鶴を奈絵の所に届け終わり、帰宅途中だった。
 俺達が千鶴を連れて奈絵さんの家に行った時、奈絵さんが勢い付けて千鶴に飛びついてきたのは驚いたな。
「それほど、妹が大事だったんだろう。奈絵はあー見えて、子供好きの所もあるし、一緒に遊んでいたのにいつの間にかいなくなっていたから、余計に心配したんだろう。まあ、私には子供のどこがいいかなんてわからないけどな」
「姉さんって、本当に子供嫌いなんだね。なんで、そこまで嫌うの?」
「だって、子供はすぐに泣くし、人の事情はお構いなしに行動に出るからな。子供は好かん」
「あっそ」
 そうゆうわりには千鶴ちゃんを届けるまで肩車してあげたり、しりとりしてあげたりしてたよな?本当は子供好きじゃないのか?後で、爺さんにでも聞いてみよう。
「それに、私は・・・・・」
 揚羽は深刻な顔をした。
「それに、何?」
「・・・・・いや、なんでもない。それより、これから何か予定でもあるか」
 揚羽は話題を切り替えてきた。
「どっかの誰かさんが無理やり連れ出したから予定はなくなったよ」
 つっても、今日はずっと部屋でごろごろ過ごすつもりだったからいいんだけど。
「それじゃあ、これから遊びに行かないか?」
「え、まあ、いいけど。姉さん、お金あるの?」
「あるだろ、ここに」
 そう言って揚羽は俺を指差してきた。
「オレヨウジオモイダシタカラカエルネ」
 俺はすぐにその場から逃げようとしたが。
「まあ、そう言わずに行くぞ。我が財布よ」
「嫌だああああ!」
 しかし、揚羽に逃げる前に肩を掴まれ、強制に的に連行されてしまった。
次回予告
作《はい、ということなので。次回から揚羽ルートをやらせてもらいます》
大《大丈夫なのか?》
作《何が?》
大《いや、揚羽ルートでという意味で》
作《大丈夫だ。たぶん》
大《たぶんかよ!》
作《だって、文章さえどうにかできればできるもん》
大《そうか、がんばれよ》
作《ということになったのでこれからは揚羽ルートでいうくので応援よろしくお願いします》


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