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No,21 特訓と夕ご飯
火曜日。
俺はいつの間にか暗闇の中にいた。
「お・・・・が・・・・ろ・・・」
そしたら暗闇の中で誰かの声が聞こえてきた。
誰だ?
俺は不信に思ったが暗闇から出る気はさらさらなかった。
「いい加減に起きろおおおおお!」
「痛っ!」
次に大きな声と共に頭に衝撃が襲ってきた。
「誰だよ。俺の安眠を妨害する奴は?」
俺は叩かれた部分を押さえながら、顔をあげた。
そして、眼の前にいたのは何故か、ハリセンを肩に背負った渚だった。
「おはよう、大河。いや、今は放課後だからこんにちはが正しいのか?」
渚は俺を見下ろしながら聞いてくる。
「・・・・・・・おやすみ」
俺はまた腕を枕にして、寝ようと試みた。
「起きろって!」
また、ハリセンで叩かれた。
「・・・・・・なんか用か?」
俺は頭を押さえながら聞く。
「ああ、私に稽古をつけてくれないか?」
何を言っているんだこの人は?
「それって俺の状態を見て言っているのか?」
俺はまだ気が溜まっておらず、小学生体系だった。
「大丈夫だ。稽古を付けてくれと言っても、ただ単に気を練る練習だけだから」
「なら一人でもできるじゃん」
そんなことの為に俺を起こしたのか?
「いや実の所を言うと、私は気を扱うのが下手なんで。私が気を扱う時に、それを見てアドバイスがほしいんだ」
「それなら、姉さんや鈴に頼めば?あの二人の方が俺より気を使うのが長けてるぞ」
俺はせいぜい、気を体に纏わせ体の強化することや爆発することしかできないからな。
「私もそう思い、先週の日曜日に鈴の手合わせをしに、行った時に聞いてみたんだ。そしたら、揚羽さんが『そうゆうことは大河に聞くのが一番手っとりばやいぞ』って言っていた」
あー、姉さんならいいそうだな。
「ちなみに、鈴は『あたしはただガムシャラにやっているだけだから、わからないや』とほざいていたぞ」
鈴、お前はいい加減ガムシャラにやらなくても使えるようになろうね。
「だから、頼む。私の稽古に付き合ってくれ」
渚は手を合わせながらお願いしてきた。
「わかったよ。アドバイスだけならしてやるよ」
「本当か?」
「ああ、ただし、後一五分だけ寝かせてくれ」
俺はそう言って寝ようとした。
「何を言う?今すぐに決まっているだろう」
渚は俺の荷物を持ち、制服の襟を掴み、俺を服ごと持ち上げた。
「ほら行くぞ」
そんなことをいいながら渚は俺を引きずって教室を後にした。
俺は移動が楽な為、移動の間は寝ていることにした。
俺と渚は一番初めに出会った公園で稽古を始めようとしていた。
「それじゃあ、そこで見ていてくれ」
渚は木刀を構えながら、俺に言ってくる。
「へいへい」
俺は適当に返事を返しながら、ベンチに横になっていた。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、はぁぁぁぁぁぁぁ、では、いざ」
渚は深呼吸をし、集中力を高めると気を扱う練習を開始した。
俺はそれを静かに見守りながら、時計を見ていた。
「一の太刀、風花」
渚は気を木刀に纏わせ技の練習を始めた。
「二の太刀、陽炎」
今の所、順調だな。
「参の太刀」
渚が次の技を出そうとした瞬間、木刀に纏っていた気が消えてしまった。
気を纏える時間は約一分か。これは鈴より早いな。
「くそ、また消えてしまったか。大河、お前から見てどう思う」
「とりあえず、気を纏う時間が短いというのがわかったよ」
鈴より早いのは驚きだな。
「仕方がないだろ、これだけはいくら練習しても長くはならないんだから」
「いや、練習の前よりお前はきちんと使いこなしていないから」
俺が答えると渚は驚いていた。
「そ、それってどういうことだ?」
はー、初歩から説明しないといけないのか面倒だな。
「ん~と、実際に見せた方がいいのかな?」
俺は起き上がり鞄から適当な紙を二、三枚出し、その一枚を棒状にした。
「聞くけど、もし、今お前がその木刀で俺を殴りかかり俺がこれでガードしたらどうなる」
「そりゃあ、紙が折れて木刀が大河に当たるだろ」
「それじゃあ、これだとどうだ?」
俺はそう言って、紙に気を纏った。
う~ん、この姿でやるのは少しきついな。
「そりゃあ、さっきと同じで紙は折れるだろう」
「じゃあ、試してみ?」
俺は気を纏った紙の棒で頭を持ってきた。
「いいのか?」
「モチロン。あ、でも、木刀に気は纏わないでね」
「わかった。おりゃああああ」
渚は躊躇いも無く、俺の頭に木刀を振りおろした。
「なっ」
その瞬間、渚は驚いた。
「すごいだろ?気をきちんと使えればこんなこともできるんだぞ」
俺は渚の木刀をいとも簡単に紙の棒で防いでいた。
「ほら、今度はお前がやってみろ」
俺は新しい紙を渚に渡した。
「わ、わかった」
渚は紙を受け取り筒状にし、それに気を使ってみた。
「なっ、全然纏えない」
しかし、紙の棒には何も起きなかった。
「これでわかっただろ。お前は気をきちんと扱えていないんだ」
「なんでだ?木刀は纏えたというのに?」
「その木刀って聖純院のか?」
「ああ、そうだ。こっちに持ってきたのはお前に折れられてしまったからな」
あ~、そんなこともあったね。
「だから、事務員の人にどこで木刀が買えるかって聞いたら、聖純院の物を分けてやるって言ってくれたんだ」
じいさん。勝手に聖純院の物を分けるなよ。
「一言言うけど、聖純院の武器は気を纏いやすくできているんだぞ」
「何、それは本当なのか?」
「ああ、だから少しでも気を流せば簡単に気を纏うことができる」
「そ、そうなのか」
渚は落ち込んだ。
「まあ、とりあえず。気を使いたいならその紙に気を纏えるようにしないとな。さて、俺はそろそろ夕飯の準備があるから行くけど、お前はどうする?」
「・・・・・・」
渚はそうとうショックの為か何も喋らなかった。
無視か。まあ、いいや。
「それじゃあ、俺は行くからな。夕飯はいつも通りの時間だから遅れるなよ」
俺は渚をほっといて荷物を持って帰ろうとして歩き出した。
「待ってくれ」
しかし、いきなり渚に襟を掴まれてしまった。
「何?」
「私に、そのなんだ」
「言いたいことがあるなら早くしろ」
こっちは晩御飯の買い物をしないといけないんだから。
「気の使い方を教えてくれないか?」
「嫌だ」
俺は渚の願いをすぐに断った。
「な、何故だ?」
本音は面倒なんだよね。でも、それを言えば絶対怒るからな。なんていよう?
「俺は人に教えるのが下手だから」
べたな嘘をついたもんだな。
「それでもいいから教えてくれ」
「あー、俺よりも優燈や姉さんに方が教えるのは美味いぞ」
「優燈はお前にしか懐いてないし、揚羽さんは頼んだところで、どうせ大河に頼めというだろ」
うん。いいそうですね。
「だからな。頼む私に教えてくれ」
渚は俺の肩を掴み揺らし始めた。どうみても、これは小学生を虐めている高校生にしか見えない。
「よ、酔うから止めろ」
俺は首を揺さぶられて眼が回ってきた。
「お前が教えてくれるというまで、止めぬ」
うわ~、ガキだこいつ。
「わ、わかったから、教えるから。教えるから止めてくれ」
「おし、やっと言ったか」
渚は肩を揺らすのを止めてくれた。
うわ~、気持ちわり~。やっぱり、子供のままだといろいろと減るからだめだな。
「おし、それで何からやればいいんだ?腹筋かそれとも腕立てか?」
なんで、筋トレばかりなんだよ?
「いや、気を扱うのにそんなのはいらないんだよ」
「じゃあ、何からやればいいんだ?」
「そうだな。とりあえず」
グ~。
どこからともなく音が聞こえた。
俺が音の根源を調べようと当たりを見回すと、渚が顔を赤くしながらお腹を押さえていた。
「急いで晩飯の準備をしないといけないみたいだから、スーパーに材料を買いに行こうか」
俺がそうやって提案すると、渚はコクコクと頷く。
「それじゃあ、行くぞ」
俺は歩き出すと、渚はまだ顔を赤くしながら静かに俺の後ろに歩いてくるだけだった。
「すまない」
渚からそんな呟きが聞こえてきた。
「何のこと?」
俺はとりあえず聞かなかったことにしといた。
次回予告
作《次回は優燈の番だな》
大《そんなことより、俺はいつになったら戻るんだ?》
作《それは次回になったらわかるよ》
大《お前。戻す気ないだろ?》
作《ナンノコト?》
大《その言い方がムカつくな》
作《まあ、そんなことより。そろそろ、誰ルート行くか決めないとな》
大《作者的には誰ルートにしたいんだ?》
作《俺か?俺は今んところ頭の中にあるのが、鈴か揚羽か優燈かな?》
大《幼馴染三人集で来たか》
作《うん。たぶん三十話あたりから入っていくと思うよ?区切りもいいし》
大《そうか。それは楽しみだな》
作《まあ、でも、どの娘になってもお前は確実にボロボロにするから楽しみにな》
大《全然たのしみじゃねええええええ!!!》
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