シスコン×2 〜学校にて〜PDFで表示縦書き表示RDF


 前作の続編を書いてみました。
 楽しんでいただいたら幸いです。
 感想・評価、どんな事でも頂けたら嬉しいです!
シスコン×2 〜学校にて〜
作:たなべ


 現在、俺が通う中学校は朝のHRの前の自由時間。
「おはよ。日下部(くさかべ)
「ん? 涼白(すずしろ)か。おはよう」
 顔を上げると、声をかけてきたのは数少ない女友達の涼白 麗菜(れいな)だった。
 涼白は隣りの席なので、暇な時間はよく喋ったりしている。
 ただ…
「何やってんの?」
「今日の授業の予習」
「うっわ…。毎朝よくやるわね」
「予習しとけば授業が楽になるし、家に居る時に陽菜(はるな)と遊べる時間を増やせるんだよ」
「勉強する理由まで妹絡み…流石シスコンね」
「俺はシスコンじゃねぇ!」
「あんたがシスコンじゃなかったら、大抵の変態は変態じゃなくなるわね」
「今度は変態扱い!? どんだけ失礼なんだよお前!!」
「正直な意見を言ってるだけよ変態」
「…蹴るぞ貴様」
「そしたら蹴り返すわよ。女子全員で」
「数の暴力!? 卑怯臭ぇ!」
「私はあんたと違って人望が有るのよゴミ」
「ゴミ!? 段々扱いが酷くなってきてる!?」
 …この様に言う事が逐一サディスティックな女なのだ。何でこんなサドい奴に人望が有るんだろうか? 謎だ。

 キーン――コーン――カーン――コーン

「お? チャイムか」
 助かった。このままこの女郎(めろう)と話してると、HPが朝から半分になる。

 ダッダッダッ! ドガンッ――

「セーフか? 良し! セーフだな!」
 騒々しく教室に入ってきたのは我が親友大夢(ひろむ)だ。奴は毎朝、というか毎休み時間、義理の妹にして恋人の(まな)に会いに行っていて、教室に入るのはいつもギリギリなのだ。何度か遅刻したことも有る。
「朝から騒々しいな大夢」
「お! おはよう! (たけし)
「ああ。おはよう。さっさと席に着いたほうがいいぞ」
 そう言うと、大夢は少し慌てて俺の前の席に着いた。

 ガラガラガラッ――

 とタイミングを計った様に教室のドアが開き、担任の教師が教室に入ってきた。
「みんなおはよう。早速出席をとるわね」
 教卓から先生があ行順に呼んでいく。
「日下部くん」
「はい」
 呼ばれたので返事をする。
 そして、涼白の番。
 さて、今日もだろうか?
「麗菜ちゃーん」
「…」
「麗菜ちゃーん? お返事は?」
「…」
「れ――」

 ガタンッ!

 音を発てて涼白が立ち上がる。今朝もか…。
「名前で呼ぶな!」
「えーっ…」
「不服そうな顔をしない!」
「別にいいじゃない。麗菜ちゃん」
「だから止めてって言ってんでしょ! バカ姉!」
 そう。我がクラスの担任、涼白 明実(あけみ)は俺の隣りの涼白 麗菜の実の姉なのだ。
 そして、
「バカだなんて…非道いわ、麗菜ちゃん」
「だから、麗菜ちゃん言うな!」
「お互いに裸を見せ合った仲じゃない」
「小さい頃に一緒に風呂に入ってただけでしょ! 誤解を招く言い方をするな!」
「私は麗菜ちゃんを愛してるだけなのにーっ」
「気色の悪い言い方をするなっ!!」
 …という風に、妹にかなりの愛情を注いで接している。
「ガーン…れ、麗菜ちゃんに気色悪いって言われた…」
 お? ショックを受けてる。流石に気色悪いと言われたのは効いたらしい。
 かく言う俺も、もし、陽菜に「お兄ちゃん、気色悪い」なんて言われたら……。
「非道い! 非道過ぎるわ! 麗菜ちゃん!」
 ……言われたら…。
「泣くな! 鬱陶(うっとう)しい!」
 …言…われた…ら…。
「う、うわーん! 今度は鬱陶しいって言われたーっ!」
 ……………………。
「なんか先生、マジに泣き始めてね? なあ、たけ……うおっ!? ど、どうしたんだ剛!? 顔が有り得ない程に青いぞ!」
「…はっ!?」
 大夢の呼びかけで現実に戻ってきた。…想像しただけで死にそうだった…! なんて恐ろしい威力…!
「わりぃ。大夢。助かった」
「い、いや、いいけどさ。いったいどうしたんだ?」
「…は、陽菜に…き、気色悪いって言われた所を想像したら…」
「…ああなったと」
「…もう二度と想像しないことを誓う…」
「…そうしろ」
「…そうする」
「で、あれどうする?」
 大夢が指差す方向を見る。
「うわーん! もう生きていけないー!」
「いい大人が子供みたいに泣くな!」
 …うわーい。
「いつの間にか、凄い事になってるな…」
「だろ?」
 はあっ…。と溜め息を吐く。
「しょうがない…」
 正直、涼白を止めるのは精神に多大なダメージを負うので嫌なのだが、このままだと先生が可哀想だし。
「落ち着け、涼白。このままだと先生が涙を流し過ぎて干からびる」
 俺は涼白に声をかける。
 が、
「シスコンは黙ってて!」

 ぶちっ

 その一言で俺はぶちキレた。
「貴様! 俺はシスコンじゃないと何度言えば分かる!」
「うるさいっ! 生徒手帳に妹の写真を挟んでる奴をシスコン、って呼んで何が悪いのよ!」
「そんな事は普通だ!」
「普通なわけあるか!」
「可愛い妹の写真を肌身離さず持っていたいと思うのは人間として当然だ! サド女!」
「誰がサド女よ! シスコン!」
「お前以外に誰が居る! サド白!」
「サドし!? 人に変なあだ名をつけるんじゃないわよ! シスコン!」
「俺をシスコンと呼ぶなと何度言えば分かる! サド白!」
「シスコンはシスコンでしょ! シスコン!」
「貴様覚悟はいいな!! 表に出ろ!!」
「上等よ! 今日こそ息の根を止めてやるわ!!」
 睨み合ったまま涼白と教室を出ようとする。
 だが、

 ゴスッ!!

「!? グボァッ!!」

 バタッ…

 首に激痛が走ったと思ったら、次の瞬間俺は倒れていた。
「…な、何だ? いったい何が起きた…」
「麗菜ちゃんの敵は私の敵よ!」
「お、お姉ちゃん!?」
 倒れたまま視線を上げると、何時復活したのか、涼白先生が木刀(どこから取り出したんだ!?)を持って立っていた。…どうやらアレで叩かれたらしい…。
「…きょ、教師が生徒に暴力振るわないで下さい…」
「教師である前に、私は麗菜ちゃんの姉だから無問題(モーマンタイ)よ!」
「いや、問題有り過ぎですから…」
 この人よく教師に成れたな…。
「お姉ちゃん…」
「す、涼白も何か言ってやってくれ…」
 俺の言う事は聞かなくても、溺愛する妹の言う事なら――
「グッジョブ!」
 なぬっ!?
「よく殺ってくれたわ。ありがと。お姉ちゃん」
 殺って、ってあんた…。
「うふ♪ 気にしないで、お姉ちゃんは麗菜ちゃんの為ならなんだって出来るのよ? 何故なら私は麗菜ちゃんを愛してるんだから!」
「うふふ…。く〜さ〜か〜べ?」
 姉の言葉を完璧にスルーした涼白は妖しい目で俺を見た。
 や、やばい! 身体が動かない…!
「は、はい? なんでしょうか? 涼白様?」
「さっきはよくも色々と言ってくれたわね…」
「い、いえ。それ程でも…」
「うふふふ…」
「あ、あははは…」
「うふふふふふふ…」
「あはははははは…」
「死になさい! シスコン!」
「い、いやぁぁぁぁぁぁ!!!」


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