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異郷より。 作者:TKミハル

楽園の夢

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現実と、非現実との狭間の話

 今回短めです。そして戦闘には至ってません。
 少し立ち位置を変えて探ると、それぞれ左から、あああーもう、と呻きながら頭を振っている、不思議な水色がかった銀髪を額を出して髪留めで上げている、南方系でおへそが出ている寒そうな服装の少女、床であぐらをかいている短髪で少年のような服の少女、神官風、ともう一人、カチッ、カチッと言う音とともに板に指を当て―――これはどうやら絵合わせをしてるらしいが――――ウェーブのかかった黒髪を一つ結びにしてバレッタで留めているらしい少女の姿が確認できた。どうやら、全部で四人のようだ。

 しかし、三人で覗いているこちらも、随分間抜けな姿だとは思うが……あまり考えないようにしよう。

神官風少女は、
「ベルーナちゃんはどう思う?」
とソファの反対側の端を向いて同意を求めた。

「……ん~?」
 規則的に、カチッカチッと何か板を合わせるような音が耳に届き、のんびりしてはいるが興味のなさそうな声が、 
「別にいいよ、どうでもー。ねえそれよりー、いいの~?」
「え、何がだ?」
「誰かドアの向こうにいるけど」
「「「!!!」」」

 その場に衝撃が走り、しまった、と身を離すまもなく、ドアが開かれる。奥でカチリカチリと板を指で滑らせ遊んでいる黒髪の少女以外の三人と、目が合った。
「~~~~ッ」
 そして、眼前でバタンと風と音を立て力強く扉が閉められる。

「なんだいったい……」
 呆然としつつもシャロンは扉の取っ手に手をかけたが、それはピクリとも動かない。

 中では、
「ミリィ、サーラ、どうするんだよ!ほんとに来ちゃったんだけど。っていうか、あの会話、丸聞こえだったんじゃ……」
「えー、別にいいじゃん」
アリサの言葉を短髪の少女ミリアムが軽くいなし、
「大丈夫!」
サーラが焦げ茶の髪を揺らし自信ありげに頷いて、
「知らん振りしとけば、なかったことにできるわ」
「うん、たぶん無理」
とりあえず突っ込んでから、彼女は今度こそ本当に頭を抱え、部屋の隅に蹲ってしまった。


 シャロンたちの眼前で音を立てたきり、扉は、固く閉ざされている。剣で斬りつけても叩いてもびくともしない扉を前に、シャロンたちは思案にくれて、
「……リッツ、おまえの力でどうにかできないか?」
その言葉にすぐさま彼は手を当てたものの、
「無理だなこれは。尋常じゃない力で守られている」
とあっさり投げつつ、
「まあこじ開けれないこともないけど、疲れるからもうちょっと様子見ようぜ」
と提案した。

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 ずいぶん待ったが、やはり扉は開く様子を見せなかった。隣を見ると、アルもリッツも、余裕の表情で荷物をチェックしたりしている。

「うわ、霊薬アムリタ随分減ったなー。もう10本きってる」
「私は残り1本しかないんだが……」
「あ、じゃあ分けとくよ。何かあると大変だからな」
 笑顔で言って、4本ずつこっちとアルに配っていく。

 もう残り少ない干し肉を名残惜しげに咀嚼しているアルフレッドの横に広げられた、アイリッツの荷物を見て、シャロンはいくつかの物品にふと目を止め、これまでも幾度か感じていた疑問を口にした。

「リッツ……物にわざわざ名前書いとくのか?」
「え?ああ、これね」
 いくつかの品を並べ、カチッと剣を抜いて、柄の根元を確認しながら、
「ないとどうにも落ち着かないんだよな。大所帯での生活だと、つけとかないと持っていかれちまう。その癖が未だに抜けてないんだ。だから大切な物には全部名前が書いてあるよ」
そう苦笑した。
「剣にも刻んでいるんだな……」
「ああもちろん。この双剣と、あともう一本お気に入りのがあったんだが……それはどこかいっちまったな」
感慨深げに剣を眺めているアイリッツ。その様子を眺めるシャロンはひそかに動揺していた。

 塔の、守護者の部屋で見つけた、あの剣がそうだとしたら、ここにいるアイリッツは――――――じゃあ、これから私たちのやろうとしていることは、彼を。

 そこまで考えて、シャロンは思いっきり首を振る。

 いや、彼が本物だろうと違おうと、取るべき道は変わらない。それに、彼も言っていたじゃないか。自分は魔導装置が生み出した存在だ、と。……わざわざ。

 浮かび上がったそれに、シャロンはさらに動揺する。

 まさか、私が迷うのを見越して、先に告げていたの、だろうか。だとしたら、なんて――――――。

 驚愕の面持ちで、リッツを見上げると、奴は春の太陽のように穏やかな瞳でにっこりと笑い、
「どうした?そんな見つめて。まさかオレに惚れちゃった?」
いつものように、冗談を言って――――。

「うわちッ」
 頭目掛け振りかぶられたアルの剣を、すれすれで避け、小剣を抜いてカンッカンと受け流しつつ、
「だから、軽い冗談だって!」
慌てて叫んでいた。
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