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異郷より。 作者:TKミハル

『広い海と嵐と魔物と』

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それは、始まり 1

 短いです。
 大陸の中央に位置し、あらゆる人と物が行き交うとされるシーヴァース。
 その北側の丘陵地帯、城下町を見下ろすかのような王城の地下に、古代の遺跡への入り口が発見されたのはごく最近のことだった。

 地下倉庫として利用されていた場所が老朽化によって崩れ落ち、中身を取り出すため掘り進めていたところ、たまたま太古の用水路をぶち抜き、その先に、遺跡への通路らしきものを発見したのである。

 滑らかな壁が青白く隧道のように続いて、そこを辿れば、もはや門というのもはばかれるような石柱の囲いに行き当たり、その向こうの階段を下りると阿呆みてえに広い洞窟に出た、というのはたまたまその場に居合わせた日雇い坑夫の言葉で、王ガルシアの箝口令も間に合わず、その事実はあっというまに世間に広まった。

 仕方なくその遺跡の調査のことを公にし、ついでにさりげなくその遺跡で発見されたものはすべて王族に権利があるとも主張して、とにもかくにも城で信の厚い騎士、兵士と、貴族の息のかかった商人や学者などで調査団を結成し、ついに遺跡調査へと赴くときがやってきた。

 王城の重要場所へ繋がる隠し通路の有無をあらかじめチェックしたうえで、本来なら倉庫へと続くはずの道から、城に住むあらゆる階層の者と、コネと金でこの場にいる権利を獲得した者たちに見送られ、調査団は荷物を抱えつつ地下通路を抜け、洞窟へと入っていく。

 湿った空気の中、迷わないよう壁に印をつけ、滑らないよう気をつけながら進み、開けた場所に丈夫な布を張って拠点を作り、その周辺を探索して、何も見つからなければ別の場所へ移動する、ということを続けて三日。

 一向に目新しい何かは見えて来ず、調査団の中ではそろそろ焦りが出始めていた。風が流れるからには、どこか裂け目か出入り口があるはずだと、確かめながら探すのに未だ見つけられていない。

「しかしよ、こんな広い洞窟……今まで見つからなかったってえのが不思議なぐらいだぜ」
 兵士の一団のうちの一人がしゃべっているのに対し、その近くで火にあたっていた、貴族のコネで入ってきた考古学者の一人、エドウィンが絶好の機会とばかりに口を開く。

「いやそれはですね、おそらく私たちが気づいていないだけで、きっかけがあったと思うのですよ。ある条件が、何らかの形で満ちたことで、遺跡への入り口が出現し……」
 とうとうとしゃべりだした彼を指差して兵士たちは笑い合い、
「おい、学者がなんかいってるぞ」
「ああ、ほっとけほっとけ。どうせ戯言にしかすぎん」
さも面白い酒の肴と言わんばかりに杯を空にした。

 エドウィンは話を打ち切り、ため息をついて他の学者たちを見やる。
 彼らは自前の怪しげな薬を器から器へうつしているだけで、見る限りではなんの足しにもなりそうになかった。
 拠点はそれぞれ身分により、騎士(うち一人が調査団リーダー)、商人、兵士と学者(寝場所は仕切りみたいなものがあいだにあるぐらいでかなり近い位置)に分かれています。
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