「あなたの職業は何ですか?」「ドワーフの……」「ああ鍛冶屋ですね」
「ちょっと待て、何でわしが鍛冶屋なんだ!」
「え? だって、ドワーフって全員鍛冶屋でしょ?」
「そんなわけあるか! 大体全員が鍛冶屋だったらドワーフの村はどうやって維持しとると思う?」
「うーん、武器とか売って食べ物とか酒とか買ってるんだと思ってたけど……」
「そういう者もいるが、畑を耕しているものも、商売をしているものも、服を作っているものもいる」
「その太い指で? 針とか持って? あ、代わりに槍とか使うんだあ」
「どうやって槍で服が縫えると思うんだ? ちゃんと針を使っている。大体ドワーフは手先が器用で細工物が得意だとか聞いたことあるだろう」
「ああ、でも、ドワーフの生活って謎が多いのよね。大体女性を見ないじゃない。なんか噂ではひげがあるとか無いとかどっちの話も聞くけどどっちなの?」
「む、それはドワーフ族の秘密だ」
「ひげがあったらちょっと引くし、無かったらただの背の低い女の子よね。巷ではロ○ドワーフなんて言われてるけど」
「だからそれは秘密だ」
「あ、ああ、なるほど。つまりドワーフの男が全員ロ○コンだってばれないように秘密にしてるのかあ」
「……」
「なるほど、じゃああれね、町の人たちに『小っちゃい子はドワーフを見かけたら大人の人に言って守ってもらいましょう』って教えといたほうがいいわね」
「それは……困る」
「やっぱりロ○コンじゃない……まあいいわ、ところで、さっき鍛冶屋が鍛冶しか出来ないようなことを言ってたけど……」
「そういうもんだろう?」
「私の知っている鍛冶屋は、料理も裁縫も農業も大工も薬草作りだってするわ」
「それは……すごいな」
「そばだって本職並みに打つし、レースだってきれいに編めるし、一度竜を倒したって自慢してたわよ。鍛冶屋だからって舐めちゃいけないわよね」
「……どこの超人だ?」
「どこも何もこの町にいる普通の鍛冶屋よ。彼のお父さんもこれまた凄くて……」
「ああ、わかったわかった。凄いのは認める。わしも鍛冶屋として負けてられんな」
「やっぱり鍛冶屋なんじゃない……」
完
と言うわけで第二弾です。
前回の盗賊のと違い、こちらは拙作長編のドワーフとは何の関係もありません。