Chapter.7 Love or a desire for exclusive possession
このビルには、爆弾が仕掛けてあるわよ。
その言葉に、背筋が凍る。
そして、新一は蘭を睨みつけた。
「蘭!お前なぁ…!―――いい加減にしろ!!」
蘭は、ぴくりと眉を吊り上げる。
もはや、それは以前の蘭とはかけ離れていて。
「いい加減にしろですって…?…アンタこそ、いい加減にしなさいよ。どうして、園子を選んだの?私は、『待ってろ』って言われたから待ってたのに。どうして?ねえ、どうしてよ?―――どうして………何で、私を選んでくれなかったの…?」
心が、悲痛なまでの叫びを上げている。
そう言われればそうだ。
何故、自分は彼女に『待ってろ』などと言いながら、彼女を選んだのだろうか?
本来なら、彼女を選ぶべきではないのか?
―――それでも。
自分は、彼女の親友を選んだ。
何故?―――決まっているではないか。
…自分が彼女を愛してしまったから。
もう、幼馴染のことを愛す事は―――出来ない。
「それは―――」
答えようとした新一の言葉を、園子が遮った。
「―――好きになっちゃ…いけないの?好きになる理由が、愛する理由が、要るの?…しょうがないじゃない…好きになったら好きになったで。愛してしまったら愛してしまったで」
「…っでも!新一は、私に待ってるように言ったのよ!?」
園子の意見に、蘭は反発する。
先程までの雰囲気は何処へ行ったのか。
園子は、落ち着きを保っていた。
「…だから?」
「『だから?』って何よ!」
「だから何よ?待ってるように言っただけ。誰も、『好き』とか『愛してる』とは言ってないじゃない。…人には変化があるもんじゃないの。気持ちだって、思いだって。いつまでも、同じわけじゃない。蘭、それは、本当に、好き、愛してる、っていう気持ちなの?…ただ、ずっと一緒にいた幼馴染だから、これからも一緒にいて欲しい、とかっていう、気持ちじゃないの…?」
「―――っっ……!」
気が付けば。
ぽろぽろと、大粒の涙を流していた。
新一は、ただ呆然とそのシーンを見つめていた。
◇◆◇◆◇◆
「―――そうかもしれないね」
「蘭…?」
突然、呟かれた言葉に、新一が首を傾げる。
園子は、蘭の方を向く。
「ただの、独占欲かもしれない。『愛』なんかじゃ、ないかもしれない」
「………蘭」
そして、黙って、軽く頭を下げる。
「ゴメンね。…ゴメンなさい」
誤るだけでは、物足りないかもしれない。
だが、今は、ただ、謝っておきたい。
ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさい。
これは、人生に大きく、深く刻み込まれるであろう過ち。
「もう、いいよ。蘭」
「そうそう。誤られると、逆にこっちがどういう反応を返していいのかわかんなくなるし」
ハハッと、3人で笑い合った。
◇◆◇◆◇◆
自分は大きな過ちを犯した。
だが、後悔はしていない。
こんなこと、するんじゃなかった。
何故、こんなことをしてしまったのだろうか。
後悔は、していないのだ。
大きな間違いに、気付かせてくれたから。
だから、今だけは、出来事を忘れて。
―――今は3人で、笑顔を向け合う。 |