愛物語(6/7)縦書き表示RDF


愛物語
作:美空翼



Chapter.6 Will oneslf be the canse


―――ポツン…ポツン…

廃ビルに響く水音。
園子は、ゆっくりと目を開けた。

辺りは薄暗く、気味が悪い。

自分は、一体どうしてこんな場所にいるのだろうか。


「あら、お目覚め?」
「………?」


頭が巧く回らない。
寝起きだからだろうか。
それとも、眠らされた薬のせいか。

クスクス…クスクス…


「―――ら…ん…?」
「薬がまだ効いているのね」


まあいいわ。
あなたはただの餌なんだからね。

…本当に、目の前にいるのは蘭なのだろうか。
態度が違う。
いつもと、雰囲気も気配も空気も…全てが、私の知っている蘭ではない。

恐怖を覚えた。
どうしようもなく。

―――何故、こんな事になっているのだろうか。


◇◆◇◆◇◆


なるべく時間を有効に使おうと、新一は路地裏を抜けた。
そして1つ向こうの通りに出て、右へと走る、走る。

人はいない。
深夜だからだろうか。


(園子……っ…!)


早く、速く、はやく、ハヤク…!

―――何故、どうして…?

その問いに答えてくれる人はいない。
偶々通りかかった人に見られても。

気にしない。


(蘭…っ…なにを考えているんだ…!?)


分からなかった。
蘭が、なにを考えているか。
どうしてこんな事態にまで発展したのか。
何故だ、何故だ、どうして、どうして…?


◇◆◇◆◇◆


階段を一気に駆け上がる。

早く、速く、はやく、ハヤク…!

最後の力を振り絞り、階段を駆け上がった。


◇◆◇◆◇◆


「あら…お早いお着きね…」


王子様が着たわよ?お姫様…と、蘭はクスクス笑いながら言う。


(新一君…っ)


ギュッと目を瞑り…園子は手を握った。
握ると言っても…ロープに結ばれて巧く出来ない。


(………っ)


響き渡る足音。
それも段々と着実に近づいて来た。

―――バン!

扉が開き…肩で息をする、新一の姿が見えた。


「…っ!新一君…っ!」
「園子……っ」

「―――あら…随分とお早いお着きねえ…王子様?」
「蘭…てめぇ…」


何故、こんな事になったのか。
どうして、こうなったのか。

…クスクス…クスクス…


「私じゃなくて園子を選んだ新一が悪いのよ。私の方が綺麗だし、ね」


これでも聖人君子って呼ばれてたんだもの…蘭なんだろうか、本当に。

ジャカ


「!!?」


そんな音とともに、向けられたのは―――黒く光る、拳銃…だった。


「園子の命を選ぶ?それとも…自分を選ぶ?―――園子の命を選ぶのだったら…私のモノになるのね」


そう言いながらも、拳銃で新一の方を撃つ。

初めてだった、拳銃でモノを狙うのは。
それにしては…上出来だった。


「蘭…!やめて!お願い…!!」
「嫌よ。…自分が悪いんだから、今更そんな事言わないで」


声が出なかった。
自分が悪いのか。
そのせいで…蘭が壊れたのか、狂ったのか…明るい道を踏み間違えたのか。


「さあ…どうする?」


このビルには、爆弾が仕掛けてあるわよ。



◇◆◇◆◇◆


自分が悪いのか。
彼女がああなった理由は自分にあるのか。

壊れ狂い明るき道を踏み間違えたのは…自分が悪いのだろうか。

彼が自分を選んだから?
自分が彼を選んだから?





―――私がこの世に存在するから…?


Will oueslf be the canse=自分のせいなのだろうか











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう