Chapter.6 Will oneslf be the canse
―――ポツン…ポツン…
廃ビルに響く水音。
園子は、ゆっくりと目を開けた。
辺りは薄暗く、気味が悪い。
自分は、一体どうしてこんな場所にいるのだろうか。
「あら、お目覚め?」
「………?」
頭が巧く回らない。
寝起きだからだろうか。
それとも、眠らされた薬のせいか。
クスクス…クスクス…
「―――ら…ん…?」
「薬がまだ効いているのね」
まあいいわ。
あなたはただの餌なんだからね。
…本当に、目の前にいるのは蘭なのだろうか。
態度が違う。
いつもと、雰囲気も気配も空気も…全てが、私の知っている蘭ではない。
恐怖を覚えた。
どうしようもなく。
―――何故、こんな事になっているのだろうか。
◇◆◇◆◇◆
なるべく時間を有効に使おうと、新一は路地裏を抜けた。
そして1つ向こうの通りに出て、右へと走る、走る。
人はいない。
深夜だからだろうか。
(園子……っ…!)
早く、速く、はやく、ハヤク…!
―――何故、どうして…?
その問いに答えてくれる人はいない。
偶々通りかかった人に見られても。
気にしない。
(蘭…っ…なにを考えているんだ…!?)
分からなかった。
蘭が、なにを考えているか。
どうしてこんな事態にまで発展したのか。
何故だ、何故だ、どうして、どうして…?
◇◆◇◆◇◆
階段を一気に駆け上がる。
早く、速く、はやく、ハヤク…!
最後の力を振り絞り、階段を駆け上がった。
◇◆◇◆◇◆
「あら…お早いお着きね…」
王子様が着たわよ?お姫様…と、蘭はクスクス笑いながら言う。
(新一君…っ)
ギュッと目を瞑り…園子は手を握った。
握ると言っても…ロープに結ばれて巧く出来ない。
(………っ)
響き渡る足音。
それも段々と着実に近づいて来た。
―――バン!
扉が開き…肩で息をする、新一の姿が見えた。
「…っ!新一君…っ!」
「園子……っ」
「―――あら…随分とお早いお着きねえ…王子様?」
「蘭…てめぇ…」
何故、こんな事になったのか。
どうして、こうなったのか。
…クスクス…クスクス…
「私じゃなくて園子を選んだ新一が悪いのよ。私の方が綺麗だし、ね」
これでも聖人君子って呼ばれてたんだもの…蘭なんだろうか、本当に。
ジャカ
「!!?」
そんな音とともに、向けられたのは―――黒く光る、拳銃…だった。
「園子の命を選ぶ?それとも…自分を選ぶ?―――園子の命を選ぶのだったら…私のモノになるのね」
そう言いながらも、拳銃で新一の方を撃つ。
初めてだった、拳銃でモノを狙うのは。
それにしては…上出来だった。
「蘭…!やめて!お願い…!!」
「嫌よ。…自分が悪いんだから、今更そんな事言わないで」
声が出なかった。
自分が悪いのか。
そのせいで…蘭が壊れたのか、狂ったのか…明るい道を踏み間違えたのか。
「さあ…どうする?」
このビルには、爆弾が仕掛けてあるわよ。
◇◆◇◆◇◆
自分が悪いのか。
彼女がああなった理由は自分にあるのか。
壊れ狂い明るき道を踏み間違えたのは…自分が悪いのだろうか。
彼が自分を選んだから?
自分が彼を選んだから?
―――私がこの世に存在するから…? |