白い空気(10/21)PDFで表示縦書き表示RDF


富士急ハイランドをモデルとした作品です。これから行く人は見ない方が良いかもしれません。少し長くなってしまいましたが、良かったら読んでみて下さい。
白い空気
作:アクア☆



トラウマの遊園地


 仲直りした俺達は、未来の休みの日に富士山ハイランドに行く約束をしていた。

 そして、今、絶叫マシーンを乗るために並んでいる。

 俺は、子供の頃、苦い思いをしていた。絶叫系で意識が飛びそうになったんだ。トラウマってやつかな…。正直、ビビってます。

 未来は嬉しそうな表情で、『司君?楽しみだね!』。俺は『そうだね!』って…。口元が引きつっていたに違いない。

 一歩、また一歩。徐々に近づいてくる絶叫マシーン。心なしか足が震える。

『なあ未来?やっぱりやめよっか!』

 かなり弱気だった。

『ダメだよ?せっかく来たんだもん!』

 未来は、ほっぺたを膨らませ、少し上目ずかいで俺を見つめた。

『だよね…。』

 覚悟を決めないと…。心なしか心臓が…。

 どっからともなく聞こえてくる悲鳴。歩いていると…『ドッドッパッ、ドッドッパッ…』なんじゃこりゃ!なんか、胃が痛い…。

 あ…、目の前にマシーンが…。ハイランドで人気の絶叫マシーン。“ドッドッパッ”未来から『これはヤバいよ?』っと、前々から聞かされていた。

 ついにマシーンに乗る時がきた…。係員が歩いてくる…。かなり頑丈に固定。シートベルトも締め、万全な体制で望む。

『あの〜、これ苦しいんですけど…。』
 俺は、係員に言った。

『安全対策の為、申し訳ありません。』

『はぁ…。』

 もぅダメだ…。でも、あの係員、可愛いな…。

 崖っぷちにいながらも、お気楽な俺…。ふと未来の方を向いた。………睨んでいた。

『すみません…。痛っ!』

 未来に、腕をツネくり返されていた。

『司君!今日は覚悟してね!』

 俺は、思わず俯く。安全装置はきつく、未来も怖く、なんかな…。

 そうこうしてる間に動き始めた。

『うわぁ…!』

『まだだよ!』

 未来は、余裕な表情で待っていた。

 スタート地点まで移動するらしい。

 ウィィィ…ガシャン…シュゥゥゥ…

 3・2・1…

 ……!

 未来が、俺の手を握りしめた。え…!


 ドッドッパッ!



 未来が俺の手を握りしめた事より、息が出来ない!凄い…スピード!死にそう…。

『うわぁぁぁぁ!』

 俺は、目から涙が…。

『きゃぁぁぁ!』

 未来も叫んでいた。

 俺は、前にあるバーに掴もうとした…未来が手を上げてるんだよなぁ…。俺と手、繋ぎっぱなしなんだよな…。

 凄い高さから急降下!

『うわぁぁぁぁ!死ぬ!無理無理無理…ダァァァ…!』

 そして、最後の方で“カシャ!”…あれ、何だ?フラッシュがたかれたような…。

 とりあえず、一つ目終わった…。

『未来?何だよコレ…。最初っからすげぇ加速じゃん!息はけないんだもんさぁ…!』

『そだねぇ!楽しかったぁ!』

 え…!未来をマジマジ見つめた。

『プッ!あははは…!』

 未来の頭がボサボサで思わず吹いてしまった。

 未来は、いきなり笑い出した俺を見て驚いていたが、その原因に気づき…

『あ〜ん、やだぁ…!』

 唇を尖らしながら、鏡を見て急いで直した。

 いつまでも笑ってる俺に…

『笑わないの!』

 唇を尖らせ、怒りだした。その未来の表情…、可愛いな。俺は、優しく微笑んだ。未来もニコッと微笑んだ。

 下に降りると、テレビにいつぱい映されていた。未来が何か探している。

『未来?何してんの?』

 未来がテレビを見ていた。俺も一緒に見る事にした。

 ……!

『あれ?何だコレ!』

 俺達が映っていた。それも凄い顔で…。

『未来もすげぇ顔だな!』

『見ないでぇ!』

 未来は、俺の背中を押し、その場を後にした。

 ドッドッパッに続き、富士山と縦続けに絶叫マシーンを乗った。あまりの絶叫ぶりに足腰がガタガタ…。そこで、少し休憩がてらに昼食をとる事にした。

 パラソルのあるベンチに座り、お店で買った食べ物と飲み物を並べた。

 ジュースを飲み、クリームパンとトルコのナンでお肉を挟んだサンドイッチを食べた。少しゆっくり、まったりした。

『俺…こうやってまったりした時間好きなんだ。』

 未来は、黙って俺の事を見つめて聞いていた。

 いつも一人でいるせいか、仲間といる時間、未来といる時間…凄く大事にしたい。

『いつも、未来が傍にいてく……。おほん!』

 未来は、シッカリ聞いていたようだ。思わず口がすべってしまったとはいえ、どう誤魔化そうか…。逆にもじもじしてしまった。

『傍に…何?』

 未来は、サラッと言う。

『ん?な…何でもない…。』

 未来は、ふ〜ん!っていうような顔で見つめる。俺は、その未来の瞳から目をそらし、そっぽ向いた。

『さぁ…次行きましょか…、ね?未来さん!』

『はいはい!』

 ニコニコしながらゴミを片付け、少し化粧を直す未来。

 女は時間がかかるんだよな…。俺は、待ってる時間、人間観察をしていた。

 色んな人がいた。若いカップル、家族、外人さん…。

 あんなに肌見せちゃって…。夏だねもぅ…。キョロキョロしながら時間を潰す。

 未来と一緒にいる時間。何もしなくても、退屈しない。こんな彼女…欲しいな。

 準備も済み、いざ、“ええんでないか”へ…まだ、終わらない地獄への道。

 下から見てみた。徐々に上がり、急降下、その時に椅子までローリング。まぁ〜キレのあるマシーンだ事…。行きたくない…。

 未来に手を引っ張られ、強力に並ばされる。凄い人気で、平日なのに、二時間待ち…。

 未来といると、二時間なんてあっという間だ!気付いたら次に…。あ…、また雄叫びが…。

 やっぱりかなりの安全装置!ガッチリ固定!最初はバックで徐々に上がり……

『ダァァァァ!やべぇ!落ちる…!足がぁぁぁぁ…!』

 未来も、流石に参ってたな…。頭がやっぱりボサボサで…。その後、北郎の店行って、敷地内うろちょろして…。何だかんだ日が暮れ始めていた。

『最後に記念写真を撮ろうよ!』

 未来は、少し疲れたような表情で言う。

 水上ボートの所で夕陽をバックに…、カシャ!

 ええんでないかの所で…、カシャ!

 最後に、ゲートの所で…、カシャ!

 車に乗り、帰る。少し切なくなる感じがした。疲れたけど、いざ離れるとなると、少し寂しい。

 未来も疲れたのか、助手席で眠ってしまった。

 俺は、運転しながら思った。また、こんなふうに未来と二人でいれたらいいな…。今日は、楽しかったよ。ありがとね…。

 おでこにそっとキスをした。

 眠たい目を擦りながら、コーヒーを飲み帰るのでした。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう