死ぬな、なんて言わないで。
今日は新しい洋服を買いました。
柔らかくて真っ白で、ふわふわした服です。
だけど、意味が無いのです。
一人で居るのが一番素敵です。
布団に入って、悲しい夢を見ます。
柔らかい切なさを連れて、目が覚めます。
お腹が空いたらご飯を食べます。
幸せな事です。
だけど、泣きたいのに泣けない事は、不幸せな事です。
何か造ろうと思うのですが、上手く作れないのです。
道端で歌うミュージシャンのように、誰かを求めているのです。
私はここには居ません。
だとしたら、貴方ですらきっと、ここには居ないのかもしれません。
触れても、それは定かではないのです。
気持ちとは裏腹に、私の全ては小さく、小さくなっていきます。
生きようと考えた、その次の瞬間にはもう、心に黒い何かが広がり始めるのです。
それは、透明で危うい真水に、黒い絵の具を一滴落とすのに似ています。
だから、それは貴方にも防ぎようのない事なのです。
愛した誰かを、愛した記憶すら薄れていきます。
だから私は悲しい人間になりつつあるのでしょう。
美しかった日々達は、過ぎてしまえば無かったのと同じなのです。
部屋に一人で居ると、テレビもつけないで居ると、錯覚してしまいます。
本当に私はこの世に一人ぼっちだと。
もしかすれば、この存在すら嘘なのだ、と。
夜は特にそうです。
とても怖くなります。
すがった薬も、もはや役立たずなのです。
私は全てに不安になります。
人より僅かばかりに不運だと、洗濯物を干す気にもなれないのです。
ふと、まだまだ若い自分のこれまでを見返ります。
決して満足だとは言えず、だから早く新しくなりたいのです。
新しくなることなど、叶わぬと知りながらも。
私の意とは裏腹に、空は今日も見事に晴れ渡ります。
春風が空の足下を撫でます。
やはり、そこには沢山の人間達が歩いて居るのです。
どうしたって私は寂しいままなのです。
私は私なのですから。
今、誰かに愛して欲しいのかもしれません。
そうすればもっと楽だったのかもしれません。
誰かを待つように、私は春のベンチに座っています。
意外にも春風はまだ氷の名残を含んでいて、薄着の私は小さくなりました。
カーディガンの袖を、ぐいと伸ばして。
ここに誰か来てくれるでしょうか。
微笑んでくれるでしょうか。
だけど日差しは暖かくて。
頬を照らす太陽の光の中で、私に少しの期待が芽生えるのでした。
抱えた膝の上に、桜の花びらが一片。
だから、もう少しだけ、もう少しだけ、と。
だから、それまでは。
死ぬな、なんて言わないで。 |