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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-80- ノルマ

 ノルマ・・今の時代、この言葉もすでに日本語となりつつある外来語である。ノルマを達成する・・とかの意味で使われるが、要は、自分に課せられた仕事や持ち分の処理量をす。ノルマを達成しないと、当然ながら支給額が減ったり、怒られたりして、ぅぅぅ…と泣けることになる。
 とある設計事務所である。
「そろそろ出来ましたか、打身うちみさん?」
 所長の主任設計技師、捻挫ねんざが、デスクから重そうにこしを上げた。
「はぁ~、一応、私のノルマですから、出来てはいるんですが…」
 打身は奥歯に物がはさまったような言い方でぼかした。
「出来てりゃいいんですよっ、出来てりゃ! 先方に見せりゃいいだけの話なんですから…」
 捻挫は、りゃ・・を多用して言った。
「それが今一、納得いかないんですよねぇ~、イメージがっ! 僕的にはっ!」
 打身は持論じろんを展開した。捻挫はイメージなんか、どうでもいいんだっ! ノルマ、ノルマ!… と思った。そこへもどってきたのが、外渉がいしょうで出ていたひびである。
「いゃ~、参りましたよ、所長!」
「どうしました? 皹さん」
「どうしましたも、こうしましたもありません! キャンセルですっ!」
「ええぇ~~~!! そ、それじゃ、今月の目標ノルマが達成出来ないじゃないですかっ!」
「私にそんなこと言われても…」
「それは、そうなんですが…」
 捻挫は泣けるような顔で語尾をにごした。事務所の賃貸ちんたい料が捻挫の脳裏のうりぎったのである。と、そのとき、打身が突拍子とっぴょうしもない嬌声きょうせいはっした。
「あっ、ああぁ~~っ!! それOKです~~ぅ!」
「OKって、きみ!」
 捻挫はいぶかしげに打身をうかがった。
「今の電話、気が変わったって伝えてくれって…」
「オオッ!! オオ、オオッ!」「ヨッシャ!!!」
 捻挫と打身は同時にサッカーでゴールしたようなガッツポーズをした。ひとまず、今月のノルマは達成された訳である。とりあえず、事務所の傷はえた。そのとき、けっぱなしの事務所のテレビがガナった。
『アディッショナル・タイム!! 出場を決める劇的なっ! サヨナラ・ゴォ~~~~ルッ!!』
 アナウンサーがマイクを引きちぎるような声で絶叫ぜっきょうした。三人の目が思わずテレビ画面にそそがれた。
「ノルマは達成されたか…」
 捻挫がさとったそうのような声でポツリとつぶやいた。
 まあ、ノルマとは、こんな感じで喜怒哀楽きどあいらくを与えるものなのである。^^

                   完
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