挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

8/100

-8- 餅々(もちもち)した話

 先だって、こんなことがあったそうだ。とある老舗ろうほのご隠居さんはもちが好きで、いつも居間のたなの中へ餅を隠していた。それもただの餅ではなく、中に甘餡あまあんまった餅か甘~ぁいボタ餅だったという。甘い物好きなんだな…と私は聞いて思ったが、次の瞬間、別に餅じゃなくても、甘~~ぁい餡が詰まった饅頭まんじゅうでもいいんしゃないか…とは思えた。まあ、それはさて置き、話を聞いていると、それが笑いながら泣ける話だった。というのも、そのご隠居さん、得意先からお中元でもらったボタ餅の詰め合わせをうれしそうに棚に隠し、さて、いよいよ誰もいなくなった離れで、今をおいて他にないとばかりにムシャムシャと食らい始めたそうだ。最初のうちはよかったが、遠くから店の者が近づく足音がしたから、さああわてたのなんの。よくみもせず思わずゴクリッ! とやっものだからたまらない。餅がのどつかえ、帰らぬ人となってしまった。家の者はにわかなことに涙、涙と泣けるはずだった。ところがこのご隠居さん、なかなかしぶとく、しばらくすると、また息を吹き返した。そして言った言葉が、『お前のような餅好きは冥土めいどにおいておく訳にはいかん! そうじゃ』だ。家人一同はそれを聞き、泣き顔から笑い顔になったという。なんとも泣けるようで笑える餅々した柔らかい話だった。

                   完
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ