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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-70- 風向(かざむ)き

 よくも悪くも、吹く風向かざむきによって物事は変化する。これは見える場合と見えない場合とがあり、『おお! 冷えるっ! 今日の風は強いなっ!』などというのは見える場合で、二国の対戦試合で、『どうも風は今、我が国に吹いているようですねっ!』などと解説されるのは、見えない場合だ。
 とある会員制の超高級レストランである。株で大儲おおもうけした投資家がカウンター席に陣取っている。カウンター前の鉄板ではシェフが馴れた手つきで肉を焼き、細かく切り分ける。それに手をつけ、特性ソースで味わう投資家は、美味うまそうに肉を頬張ほおばる。
「今日のは肉汁にくじゅうが少し薄いようだが…」
「そうですかっ? いつもと同じ特注なんですがねっ!」
 シェフにも料理人としての意地があるから、言い返す。
「そうか? …先に食った鰻重うなじゅうのせいか…」
 投資家は、ひとまず納得してうなずく。実はこのとき、見えない風向きが変化していることに投資家は気づかなかったのである。すでに株価は大暴落のきざしを見せていた。この兆しというのが、美味おいしく感じない、風の警告サインだったのだ。投資家はそれに気づけなかったのである。
 ひと月後の同じ超高級レストラン前である。一人のうらぶれたホームレス風の男が、トボトボ・・と店の前を歩いている。
「あの肉、美味うまかったな…」
 男は、そうひとこと、ぅぅぅ…と泣けるような声でつぶやき、うらめしげに店をながめた。風向きを見逃みのがした投資家のあわれな末路まつろである。
 見えない風向きは分からないから、直接、風に言って欲しいものだ。^^

                   完
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