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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-69- 動かず

 動き回るほど事態を悪くして、ぅぅぅ…と泣けることがある。そういうときこそ、動かず・・を心がけることが肝要かんようだ。不動心、不動身である。動かず、そうこうしていると、いつの間にか心身ともに冷静になれ、健康がもどってくる・・といった具合だ。
 深毛ふかも禅寺ぜんじの山門前である。一人の背広服の男が石段をヨッコラッショ! と登ってきた。山門をき清めていたのは、管長かんちょう沢傘たくさんである。
「ホッホッホッ…あききずに、また来られましたな?」
 沢傘は見慣れた男の姿に、嫌味いやみを一つ言って微笑ほほえんだ。
「ははは…ひとつ、よろしくっ! また泣けることが増えましてな」
「今回は、いかほど、ご滞在ですかな?」
「二日ばかりお願いを…」
「分かりました。いつものようなことで、大したおかまい立ては出来ませぬがのう…」
「ええ、それはもう…」
「では、そういうことで…」
 男は沢傘に導かれ、寺の中へと消えていった。
 二日碁である。
「お世話になりました…」
「いかがですかな?」
「はっ! お蔭さまで、心身とも凍りついたように動かず、でございます」
「おお! それはよかった。俗世は、悪い水が解かしますでなっ。くれぐれもお気をつけられて…。では、いずれまた…」
「はっ! 老僧もお元気で…」
「お互いにのう…」
 二人は山門前で別れた。
 動かず・・は時として、ぅぅぅ…と泣けることから救う医療になるのである。

                   完

 ※ 動いた方がよい場合も時として、あるようです。^^
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