挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

62/100

-62- ああして、こうして

 ああして、こうして…とアレコレ考えてから動けば、結構、早く済む。ああして、こうして…と巡らずにやるのが、思いつき・・と言われる動きだ。この場合、巡っていないから、どうなるか分からず、出たとこ勝負となり、大いに危うい。当然、ぅぅぅ…と泣けるようなことにもなりかねない。そこへいくと、ああして、こうして…と巡っている人は、首尾よく思い通りにいかなかったとしても、その逃げすじ[将棋]、しのぎ筋[囲碁]、安全牌パイ[麻雀]などを準備しているから、滅多なことで、ぅぅぅ…と泣けることにはならない。
 旅の途中、ふと思いついてルート変更した二人が、元のルートへ戻ろうとしている。
「大丈夫なんですか? こんなにゆっくりしていて…」
「ははは…大丈夫、大丈夫!」
 陽はすでに西山へと傾き、次第に薄暗さを増していた。二人は、トボトボと元来た道へと急いだ。しかし、行けども行けども、元来た道は現れない。それもそのはずで、二人は別の脇道へと迷い込んでいたのである。
「全然、大丈夫じゃないじゃないですかっ!!」
 従っていた男はリードした男に文句を言った。
「ははは…大丈夫、大丈夫! …じゃないな。これは、おかしい! 実に怪しいっ!」
「ちっとも怪しくないですよっ! 私ら、道に迷ったんですっ! ・・・折角せっかく、私がああして、こうして…と考えてたのにっ!」
「ああして、こうして…?」
「そうですよっ! 夕暮れに宿へもどり、温泉につかかったあと、いい気分で一杯やりながら美味い料理に舌鼓したづつみをうち、で、カラオケで唄う訳ですよっ!」
 辺りはすでに漆黒しっこくやみと化していた。万一を考え、持参した懐中電灯の灯りが、二人の唯一の命綱だった。
「仕方ないじゃないですかっ! ぅぅぅ…」
「泣かなくてもいいでしょうがっ!」
 そのとき、巡回中のパトカーが通りかり、止まった。
「どうされました?」
 警官がいぶかしげにたずねた。
「ぅぅぅ…ああして、こうして…がっ!」
「はあ?」
 その後、事情が分かり、二人は無事、温泉宿へと送り届けられた。どうにかこうにか、めでたし、めでたし…。
 ああして、こうして…は、やはり、欠かせないのだ。

                   完
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ