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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-54- 名実(めいじつ)ともに

 実力もあり、その名も世に知られている・・こういう状況を、名実ともに・・と人は言う。名だけでは、なんの役にもたたず、かすかに、そうだったのか…と名残なごりをとどめる程度なのだ。要するに、現実にはまったく意味をなさないのである。例えば、資格は持っているが、どうして取れたのか? と疑うほど、その技量がない・・とかの場合である。資格も何もないただの人が、大病院の医師でもなおせない病気を治せた・・こんな逆の場合だってある。めいはないが、じつがある・・というケースだ。あんな、へちゃむくれが芸能人? と自分の眼を疑いたくなるようなドブスやイケないメンが活躍しているといったケースもそうで、人の世は、ままならないのである。
 長閑のどかな春うらら、ご隠居、二人が公園のベンチに座り、日向ひなたぼっこで語らっている。
「ほらっ! 毛がえてきましたよ・・アレは本物ですっ! 間違いないっ!」
「ははは…そんな馬鹿なっ! 気のせいでしょ。どれどれ」
「あっ! 確かに…」
「でしょ?! 名実ともにだっ!」
「こりゃ、いい。私もやってみますよっ! まだ、あります?」
「それが、あの名実とも・・いつ現れるか分からないんですよっ!」
 そのご隠居が語るのには、なんでも偶然ぐうぜん現れた胡散うさんくさい薬売りに買わされた・・というものらしい。
「それって、大丈夫なんですか? 薬事法とか、いろいろあるんでしょ?」
「いやぁ~そらそうなんでしょうが、実際に生えてきている訳ですから…」
「名実ともに・・というより、実のみですなぁ~」
「そんなことは、どぅ~でもいいんです、私にゃ。生えさえすればっ!」
「そら、そうですっ! 生えさえすればっ!」
 二人はかんきわまったのか、泣ける目頭めがしらを押さえた。
 分かりよい、名実ともにばなしである。

                   完
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