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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-53- 遅参(ちさん)

 予定の時刻に間に合わず、おくれることを時代的に小難こむずかしく言えば遅参ちさんとなる。現代なら遅刻ちこくと一般に言われるもので、学校、職場、デート・・などといった、いろいろな場合や場所で生じる。ただ、許してもらえるとか、そう大した損失そんしつにならない場合はいいが、ぅぅぅ…と泣けるような本隊三万八千の精鋭をひきいた徳川秀忠公の関ヶ原遅参などといった状況になるのはいただけない。取り返しがつかないからだ。
 このデートで決めるぞっ! と意気込んで小一時間ばかり早く家を出たにもかかわらず、どうした訳かその日は列車事故で、駅で待つ破目となった御門みかどは、イラつきながらタクシーへと切り替え、飛び乗った。腕を見れば、待ち合わせの時間にはまだ20分ばかりあったから、やれやれ、これでひと安心…と、後部座席にもたれ、御門は安心の荒い吐息といきを一ついた。だが、その御門の考えは甘かった。今度はどういう訳か、道路の渋滞じゅうたいである。俺は、運に見放されているのかっ! と、御門は、ぅぅぅ…と泣ける気分であせった。
「急いでるんですっ! なんとか、なりませんかねっ!!」
「はあ…。渋滞ですからなぁ~、ははは…」
 運転手の呑気そうな笑いに、御門は、何が、ははは…だっ! …と、怒れてきた。
「もう、いいですっ!」
 矢もたてたまらず、御門は料金を支払うとタクシーを降り、走り出した。
 荒い呼吸で待ち合わせ場所へ御門が着いたとき、時するではないか。刻はすでに40分ばかり過ぎていた。ダメだったか…と、御門は気力が抜けたあきらめの気分で、トボトボと歩き始めた。そのときである。ッカッカッカ…と早足で近づく音がした。御門が振り返ると、一人の女性が荒い吐息で近づいてくるではないか。それはまぎれもなく待ち合わせた公美に間違いなかった。公美も遅参したのである。双方が遅参した場合は、泣けることにはならず、笑いとなる。

                  完
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