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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-47- つい…

 つい…と、知らず知らずのうちに無意識でやってしまうことがある。ぅぅぅ…しまった! と泣ける場合だが、これは身体が経験則で記憶している悪い例だ。よい場合は、瞬間に身をかわす・・といった具合になる。
 春の木漏こもすとある公園のペンチに、二人の老人が座っている。いつも散歩で出会う二人だ。
鯖岡さばおかさんっ!」
「なんです? 鮒海ふなうみさんっ!」
「実は…」
「どうかしましたか?」
「いえ、べつに…」
 いつも自分から話しかける習慣が身についていた鮒海は、話題もないのに話しかけたことをくややんだ。内心では、つい…といったところだ。
「それにしても、いい天気ですなぁ~。春らしくなりました。ほら、紋白蝶が…」
 話しかけられたとき、必ず新しい話題で返す・・という習慣が知らず知らず身についたのか、鯖岡も話題を出し、蝶が優雅に舞う方向を指さしていた。
「おお! 珍しいっ! いや、実に長閑のどな風情です…。こういう自然が都会では少なくなりました」
 話題ができ、やれやれ…と、鮒海は安堵あんどして鯖岡に応じた。
「はいっ! なげかわしいことです。ぅぅぅ…」
「そんな泣くようなことでも…」
 急に涙目なみだめで声を詰まらせた鯖岡をいぶかしげに鮒海は見た。
「いや、失礼しました。私、花粉症でして…」
「この季節、泣けますか?」
「はい! 泣けるんですよ、つい…」
「泣くつもりじゃないんですね?」
「もちろん! これで泣ける訳がない! ただ、理由もなく涙を流していれば、格好がつかないじゃありませんかっ!」
「なるほどっ! それで…」
「はい。つい…」
 つい…は、いろいろ起きるという話である。

                   完
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