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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-39- いつもの

 桜田は駅前の駐車場へいつものように車を止め、いつもの駅の改札へスゥ~っと流暢りゅうちょうに入った。そして、いつもの勤務地へと、それもいつもの通勤用のかばんを右手に持ち、いつもの時間帯の電車に乗るつもりで階段を上がってホームへと下りた。すべてが、いつもの繰り返しだった。今日もこうして流れていくのか…と、桜田がなかば溜め息をきながらホームのベンチで電車を待っていると、どういう訳かこの日に限って電車が来ない。妙だなぁ~? といぶかしげにあたりを見回せば、これも妙なことに人っ子ひとりいないのである。そんなこたぁ~ない! と自分に言い聞かせ、桜田はベンチを立つとホームをウロウロと動き出した。そのときである。
『まもなく2番線に○□行きの快速が入ります。あぶないですから、黄色い線の内側まで下がってお待ち下さい』
 聞きなれた駅自動放送が桜田の耳に飛び込んできた。桜田は、やれやれ、人はいる…と、ひとまず安心し、いつものライン番号に立って電車の到着を待った。だがしかし、数分がっても、いっこう、いつもの○□行きの快速電車が来ないのである。桜田は、ふたたび、そんなこたぁ~ない! と自分に言い聞かせ、駅員を探そうと立ち上がった。ところが、どういう訳かこの日に限って、駅員の姿がどこにも見当たらない。桜田はあせる必要がないのに焦った。
「おぉ~~いっ!!」
 桜田は、いつの間にか叫んでいた。
「どうしたのっ! 遅刻するわよっ!!」
 大声に桜田がまぶたを開けると、ベッドの上にはいつもの妻が警視総監が指揮するようないかつい顔で立っていた。桜田は悲喜こもごものビミョ~な感情に、思わずぅぅぅ…と泣けるのを我慢がまんした。

                   完
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