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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-38- 雛祭(ひなまつ)り

 雛祭ひなまつりが男子にとってぅぅぅ…と泣けるほど居心地いごこちが悪い日なのか? といえば、実は案外そうでもない。まあ、女子、取り分け子供の場合、女子が威張いばれる日であることには違いないのだが…。しかし、やはり男子、取り分け子供の場合、居心地が悪い・・という状況に変わりはない。甘酒・・これを女子から、せしめるには、お呼ばれ・・という雛飾ひなかざりの前で、女子達がどうのこうの…と言い合う会話に付き合い、その会にまねかれる・・所謂いわゆる、[お招き]といういち行程こうていなければならないからだ。家の母親におねだりし、甘酒を…などという男子の甘い考えは、「あんたっ! 男の子でしょ!!」とかなんとか、お小言こごと頂戴ちょうだいするのが関の山なのである。
 とある家の和間に飾られた豪華な雛壇ひなだんの前で、女子小学生が集まり雛祭りを楽しんでいる。その中に一人、借り物の猫のように小さくショボくなっている男子小学生がいる。小さくならねばならないのなら招かれねばいいのだが、まあ仕方なく…招かれたようだ。
「♪灯りをぉ~つけましょ、雪洞ぼんぽりにぃ~♪」
 女子小学生達が歌い、仕方なく小声で男子がお付き合いで歌う。これも、甘酒と菱餅ひしもちを食べるためだっ! という気分の歌いようである。
「お母さぁ~~ん! 甘酒はっ?!」
「はいはい! 持って来ましたよっ!」
 男子小学生は、してやったりっ! とガッツポーズを心でする。当然、顔はニヤけている。ところがどうした訳か、置かれた盆の上の茶碗が人数分にんずうぶんより一人分、足りない。
「お母さん、ひとつ足りないわよっ!」
「あらっ! ごめんなさいっ! もうないのよぉ~~!!」
 招かれた家の母親の声が男子小学生にとっては、なんともやるせなく、ぅぅぅ…と泣けるように聞こえる。当然、自分は飲めない・・と予想できたからだ。ところが、どっこい! である。
「お母さん、もう一つ、お茶碗。みんなのを少しずつ、別ければいいじゃないっ!」
 この女子小学生の声が、男子小学生には、なんともぅぅぅ…と泣けるように聞こえた。
 長閑のどかだった昭和40年代の雛祭りの一光景である。時代は移ろえど、こういうことは今もありそうだ。^^

                   完
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