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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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35/100

-35- 無意識

 意味もなく自然と身体が動き、無意識でなんとなくやってしまう・・ということがある。だが、このなんとなく無意識でやってしまう・・という行為の奥には。潜在的にそうしたいと思っている深層心理が存在するのだ。人はそれに気づかず、ついついやってしまう。当然、無意識でやる行為の結果、可と不可が生じる。はっはっはっ…と喜びで笑える結果もあれば、ぅぅぅ…と泣ける結果まで、さまざまな結果が起こりる。
 昼前の法律事務所の中である。デスクに座った弁護士の二人が、なにやら語り合っている。
「腹が減りましたね、蛸崎たこざきさん」
「はあ、もうこんな時間ですかっ! ちょっくら買ってきますか?」
「頼みますっ! いつもので…」
 蛸崎は決まり文句のようにそう言うと、烏賊尾いかおに小額紙幣を一枚、渡した。
「はい、分かりました。それにしても、よくきませんね。いつも魚フライ弁当で…。身体にどくですよ」
「ははは…、ついつい無意識でね。あの店の魚、日変わりなんですよっ! それが楽しみなんだなぁ~!」
「そんなもんですか…」
「ええ、そんなもんなんです。それでついつい…。今日は何だろっ!」
「知りませんよっ! それじゃ!」
 烏賊尾は付き合ってられない思いでデスクを立つと事務所を出ていった。そして10分足らずすると、いつものように二つの袋をげ、もどってきた。
「すみません! 今日はどういう訳か魚フライ弁当が出来ないそうなんで、トンカツ弁当を…」
 烏賊尾は申し訳なさそうに豚カツ弁当が入った袋とお釣りを蛸崎のデスクの上へ置いた。
「ええっ! ぅぅぅ…魚フライ弁当じゃないんだっ!」
「そんな泣くようなことでも…」
 突然、涙目になった蛸崎を見て、烏賊尾はあきれ顔で小笑いした。
「いやっ! 昼は魚でしょうがっ!! 魚でないとっ!!」
 いつしか蛸崎の身体からだは、無意識のうちに魚フライ体質に洗脳ではなく、洗体されていたのである。
「そう言わずに食べてくださいよっ!」
「そりゃ、態々(わざわざ)、買ってきてくれたんだから食べるよっ! 食べるけどねっ! ぅぅぅ…」
「今、お茶、れます…」
 烏賊尾は蛸崎を見ながら、この人、大丈夫かっ? …と思ったが、思うにとどめ、話を切った。
 無意識も習慣となれば、けっこうこわいのだ。

                   完
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