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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-3- 嘆(なげ)き節(ぶし)

 小規模ながら笹山建材という工務店を営む笹山は、よくなげく男として、店の従業員達に知れ渡っていた。愚痴ぐちる訳ではなく、単に嘆きぶしでボヤくのだから、それほど聞き苦しい・・ということでもない。そんな訳で、従業員達は、冷めた目で呟き始めた笹山を見ないていで知らんぷりするのが常だった。
 そんなある日のことである。作業を終えた二人の従業員が店へ帰ってきてロッカー室へ入っていく。その通路からは、事務をするかたわら、嘆き節をガナる笹山が一望できた。
「またか…親父おやっさん、始めたぜ…」
「ああ、今日は何があったんだ?」
「さあなぁ~。どうせ、この身入りで俺達の給料が支払えるかっ! とか言ってんじゃねえのかっ」
「だな…、いや、今日はちょいと違うな? 泣き始めたよっ!」
「こりゃ、大事おおごとかもなっ!」
 そこへ別の従業員が着替えにロッカー室へ入ってきた。
「んっ? お前ら、どうしたんだっ?」
「どうもこうもねえよっ。親父っさんが泣いてるからな」
「ははは…なんだ、そんなことかっ! 実はカクカクシカジカ・・でなっ」
「はっ、はっ、はっ、はっ!…」「がはははは…」
 笑い方にもいろいろあるが、カクカクシカジカと訳を聞いた二人は、こんな感じで爆笑し始めた。その訳とは、笹山がよく通うスナックのホステスとのあんなことやこんなことが、どうも奥さんにバレたらしいということだった。その話には続きがあり、そのホステスには逃げられるわ、奥さんからは離婚を突きつけられるわ・・で、泣きの涙だという。さらに追い討ちをかけるように、そのホステスが走った先が別の工務店の社長・・というのだから笹山が泣けるのもうなずける。
 このように、嘆き節の奥には泣ける複雑な内容が秘められているのである。

                   完
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