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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-22- 気分次第

 いつもの通勤電車に揺られ、鰤尾ぶりおは疲れた身体を引きるように揺られて立っていた。今朝に限って、日々の疲れがドッ! と出たような身体の重さだ。満員電車だから両横も後方も人また人で、身動きが取れない。だからかわすがるように立っている他なかった。思わず、ぅぅぅ…と泣けてきたのは、そのときだった。
「ど、どうされました!? ご気分がお悪いんですかっ?!」
 唯一ゆいいつ、スペースがある前方座席の若い美人が、心配そうに鰤尾をうかがった。
「いえ、どうってことは…」
 語尾をにごして否定した鰤尾だったが、自分自身にも泣けた理由が浮かばなかった。
「どうぞ…私、次の駅で降りますから…」
 声をかけた若い美人は、スクッ! と急に立ち上がり、座席をゆずった。吊り革に縋るように立っていた鰤尾にすればおんで、地獄で仏・・のような有り難さだった。
「どうも…」
 鰤尾は崩れ落ちるように座席に座っていた。すると妙なもので、美味しい急に身体が軽くなった。目の前には若い美人が笑顔で立っている。この上なく美しい…と思えた瞬間、鰤尾の疲れは、なかったかのようにどこかへ消え去り、気分が喜びに満ちあふれたのである。
 気分次第で、人は泣ける土砂どしゃ降りから快晴へとさま変わりするのだ。

                   完
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