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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-21- 新旧

 モノは新品の方がいいっ! と言ったり考えたりする人は、愚かしい人・・と断言してもよいだろう。多少はこのことを考慮に入れて行動しないと、ぅぅぅ…と泣ける破目におちいるから注意が肝要かんようだ。新旧に関係なく、新しくても古くても、いいモノはいいのだし、悪いモノは悪い・・ということに他ならない。
 とあるDIY専門店の中である。
「やあ! これはこれは…。山芋さんじゃありませんかっ!」
「いやぁ~! これは奇遇ですなっ、擂木すりきさんっ!」
「何かお探しですか?」
「いゃ~、以前から欲しいと思っておったものがありましてね、それを…」
「ええ、まあ…。古い道具が手間取りますので、そろそろ多用途の新しいのを…と思いましてね」
「古い方はどうされるんです?」
「隠居ですねっ!」
「隠居?」
「はい! 万が一の予備ということでっ! 馴染なじみみ深い、いい代物しろものでしてねっ!」
「なるほど…。昨今は使い捨ての時代ですからな。それがようございます」
「そう思われますか? 擂木さんも」
「はいっ! いいモノが減りました。なんか使い捨てて新しいのを買えばいい・・感覚の時代ですから!」
「そうそう! 労派[労働者派遣]法なんて、その最たるものですよっ! ぅぅぅ…」
 しゃべくり漫才のように語り合う二人の会話を、一人の女店員が声をかけようか、かけまいか…と、うらめしげに見守っていた。店の閉店時間がすでに過ぎていたのである。入店していた他の客達はうに店の外へ出ていた。
「あ、あのう…」
 ついに若い女店員が声をかけた。
「おおっ! これは新しい、いいモノですっ!!」「ははは…これはっ! ですなっ!」
 山芋と擂木は新しく入った女店員を見て、思わずそう言った。
「はあっ?!」
「いや、なんでもありません。新しくても古くてもいいモノはいい・・という話です」
「…? もう閉店なんですが…」
「ああ、どうもすいませんっ!」「どうも…」
 二人は笑いながらあやまった。そこへ年季ねんきが入ったベテラン女店員が現れた。
「またのご来店をっ!」
「おっ! 古いのも、捨てがたいっ! ですな」
「いいモノは、いいっ! ははは…」
 愛想いい声に、二人はまたつぶやいた。
「ええ、私は旧式ですけど、いいモノですからっ!」
「…」「…」
 ベテラン女店員の切り返しに、二人は絶句ぜっくした。
 新旧関係なく、いいモノはいいようだ。

                   完
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