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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-2- 演歌

 演歌に泣ける話は欠かせない。
 苦節20年、15でデビューした演歌歌手、若草鹿美の新曲♪絶壁波止場♪は、ようやくヒットのきざしを見せ始めていた。
「有線、なかなか、評判がいいようだよ、鹿美ちゃん」
 慰めともつかぬ言葉を口にしたのは、デビューから共に苦労してきたマネージャー、煎餅せんべだった。言葉とは裏腹に、煎餅は、またダメかも知れん…と泣ける思いだった。しかし、頑張る鹿美を前にそうとは言えなかったのである。鹿美にもすでに四十路よそじの坂が迫っていた。
「ありがと…」
 鹿美にも、ダメかも知れない…とは分かっていた。だが、懸命に売り込みを続けてくれる煎餅を前に、そうとは言えなかった。二人は泣ける心とは裏腹に。互いに顔を見合わせ微笑ほほえんだ。
 そのときだった。
「う、売れたよぉ~~っ!!」
 楽屋に飛び込んできたのは、煎餅が所属する芸能プロダクションの社長、大仏おさらぎだった。
「や、やりましたねっ、社長!!」
 煎餅は思わず大仏に抱きついていた。
「ああっ! やったよ、鹿美ちゃん~~!!」
 大仏は落ち着きを取りもどし、煎餅から離れると鹿美に言った。
「社長、それで何枚くらい?」
 鹿美は不安げにたずねた。
「…200枚」
 やはり、演歌は泣けるのである。

                  完
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