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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-19- 意識

 人の意識は、あるときは邪魔になり、またあるときは必要となる二面性を持っている。
 とある病院の病室である。
 ほぼ20年、意識がもどらなかった妻の意識が、どうしたことか不意に戻った。付きっ切りで介護をしていた亭主は、そのときビミョ~な気分にさいなまれていた。それには当然、理由がある。
 数年前、若い美人看護師が異動し、熟年でそれなりに綺麗な看護師が病室の係となった。最初のうちは、どうってこともなかったのだが、ふとしたことがきっかけで、この亭主と看護師の間が妙なことになった。妙というのは、もうお分かりだろうが、ナニである。そのときの一場面である。
 病室の窓近くに一人の見舞い客が置いていった花束が置かれていた。そこへ、検温に訪れた看護師が入ってきた。
「あらっ! 綺麗なお花ですこと…」
「ああ…知り合いが見舞いに来てくれたんですよ…」
「そうでしたの…。花瓶に飾りましょうね」
 看護師は花束を手に取ろうとした。そのときである。
「あっ! 私が…」
 亭主はあわてて椅子から立ち、看護師が手にした花束を持とうとした。そのとき二人の手は触れた。これはいかん…と、サッ! と手を引く亭主。そのとき合う二人の目と目。これはもう、ナニでとなる。言っておくが、ナニとはホの字のことである。ホの字? でお分かりにならない方は、の字と書けば、さすがにお分かりになるだろう。要は、二人ることにの間には、互いを意識するよからぬ恋愛感情が芽生めばえたのである。その後、ナニはアレになり、コレとなっていった。そうして、あんなことやこんなことが起ころうか・・と危ぶまれた矢先、突如として妻の意識が戻った。
「… … ここは?」
「おっ、お前! ぅぅぅ…」
「奥様っ! ぅぅぅ…」
 亭主は思わず寄りすがって泣き、看護師もその瞬間、ベッドへ駆け寄って泣き声になった。
 亭主としては、看護師に意識をがれて惚の字だから、妻の意識が戻ったことがよかったのか悪かったのか、泣けるビミョ~な心理だ。看護師の方も、惚の字が頭で踊っているからビミョ~である。
 その後、コトの顛末てんまつがどうなったか? まで、私は知らない。
 ただ、意識は泣けるビミョ~な心理を与える・・とは言える。それがいやなら、無我の境地きょうちになるぜんでも組むことだ。

                   完
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