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泣けるユーモア短編集 作者:水本爽涼
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-15- 悴(かじか)む

 冬の冷気れいきは手足をこおらせる。身体からだが冷え、思わず、ぅぅぅ…泣けるような痛みが手足を襲う。これがかじかむ・・という注意信号で、身体がなんとかさせよう! としているのだ。放っておけば、痛みは失せ、悴みも消えるが、これはもう、注意信号を超えた危険信号で、冷気による細胞の壊死えしが始まっていることになる。まさに、ぅぅぅ…と、あとから泣ける状態になるのだからこわい。悴む手足をあたためようとストーブなどの暖房器具に近づけると、冷えは消え心地ここちよくなる。が、暖めすぎると、今度は血行がよくなり、かゆくなってくる。ボリボリと掻けば、皮ががれ炎症となるから厄介やっかいだ。
 羽柴はしば議員の主席秘書をつとめる村雲むらくもは、朝から羽柴に怒られ、身体が悴むように萎縮いしゅくしていた。
「もう少し頭を使いたまえっ! 普通常識だろうがっ!!」
「どうも、すいません…」
 頭を下げてみたものの、村雲には怒られた意味が分からなかった。だが、ここはあやまっておくにかぎる…と反射的に頭を下げたのだった。
「私がスキ焼のネギ好きだとは、君もよく知ってるはずだっ! それに、よりにもよって、玉ネギとは…」
 村雲は何を勘違いしたのか、長ネギではなくタマネギを多量に買ってきたのだった。肉好きなら分かるがなぁ~…と思いながらネギを買い、頭が回らなかった・・ということもある。
 なべに大量のタマネギが放り込まれ、スキ焼がグツグツと美味うまそうに煮え始めた。白滝しらたき菊菜きくな、少しの安い牛肉、大量のタマネギ・・見た目はともかくとして、それなりに美味いのか、羽柴は何も言わずはしを進める。
「おいっ! もっと食えよっ!」
「はっ! 有難うございます…」
 村雲は、また何か言われはしまいか…と疑心暗鬼におちいり、悴む思いで箸が全然、進まない。グツグツ煮える熱い鍋4、益々、冷える村雲の悴む心・・両者が羽柴の前で相対的な構図を見せていた。

                   完
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