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図書館ドラゴンは火を吹かない 作者:東雲佑/右

■ 四章.僕らはいま、物語の中にいるみたいだ

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◆10 しっかりやってこいよ 【物語の日、神話の午後/1】

 あらゆる昼に対して、夜は平等にとばりをおろします。あらゆる夜に対して、朝は平等に曙光を投げかけます。
 いま、最後の一夜もまた安寧あんねいの眠りのうちに朝へと変じようとしています。短くて長い夏の夜は白々と明けて、東雲しののめの空には一番鶏のおめき声が高らかに響き渡って。
 そうして、街には新しい一日が訪れるのです。

 その朝、街全体がいまだ覚めやらぬ眠りに微睡んでいる刻限のこと。
 朝ぼらけの街道上に、澄み切った大気を吸い込んで駆ける二頭の馬影がありました。
 先行する騎馬は走ることそのものを楽しむかのように目一杯に飛ばして、これでもかとばかり馬腹に拍車を打って、そうして後方の仲間と距離が開きすぎているのに気づいては諾足だくあしに速度を落として、「旦那ぁ! なにやってんですかあ! 追いてっちまいますぜ!」などと元気溌剌に呼びかけています。
 後塵こうじんを拝するもう一人は先行者の奔放な振る舞いと忌々しいまでの馬術の巧みさに――無体に馬を酷使してるかのように見えて、実際は乗馬の限界をきちんと知悉ちしつした、人馬一体のその駒使いに――舌打ちなど漏らしながら、「おい、少しは手加減してくれたらどうなんだ!」と、どこかすがるような調子のある叱責で応じます。
 普段完璧を地でいく相棒の見せた弱点に気をよくして、先行の男はさらに図に乗って駒を躍らせます。
 出会った当初は頑として己を閉ざしていたこの年下の上司が、最近自分に対してだけは弱みをさらけ出すようになってきていると、彼はそのことに気づいておりました。気づいていて、彼にはその変化がなんとも嬉しく感じられてならなかったのです。

 やがて二人は目指す街へと到着します。
 城門の番をする守衛はいかにも居丈高な男たちでしたが、二人が首から提げた鉄牌と、なにより負うようにして背中に括り付けられた杖を認めた途端、一転して下にも置かぬ態度となって彼らを街へと招き入れてくれました。
 街に入った二人は指定された馬房に馬を預けると、そのまままっすぐに目指す建物へと向かいました。

「おお! ようやくの到着か! 待ったぞ、待ちくたびれたぞ!」

 詛呪そじゅ院にて二人を出迎えたのは、自ら彼らの後見役をもって任じている中年呪使いです。
 両腕を大きく差しのばして、ほとんど二人に抱きつかんばかりの歓迎の態度を示した彼は、ふと、思い出したように難しい顔をつくって手を下げました。

「……ずいぶんと遅かったではないか? 杖持ちという杖持ちたちが昨日のうちに街入りしていたというのに、肝心の貴君らがこれほどぎりぎりになっての到着というのでは……」
「他に示しがつきません、か?」

 二人の若い呪使いのうちでもさらに年下の方が答えました。年長者でありさらには上役でもあるはずの相手に対して一向に怯んだところのない、どころか、挑むようですらある態度で。
 鋭さと自信に満ちた物言いに、たじろいだのは中年呪使いのほうでした。

「ご心配をおかけしてしまったようで、それについては誠、申し訳なく思います」

 若者はまず年長者への気遣いと謝意を口にして、しかし、と続けます。

「しかし、私から見れば他の皆様のほうが早すぎたのです。なにしろ奴は克明に『最終日』と予告しているのですから。ならば、他の六日間にはいささかの意味も価値もありません。念を入れての早めの参上など、私に言わせればまったくの徒労に過ぎない」

 すべては今日というただ一日に集約されているのですから――彼はそう締めくくりました。

「……貴君は、なぜそのように自信を失わずにいられるのだ?」

 揺るがぬ口ぶりの若者に、呪使いが問いを発します。

「吾輩は、正直なところ不安だ。不安で仕方がないのだ。事態は、既に我々の手には負えぬほど大きくなってしまっている。これでもし奴が、あの邪悪な語り部が現れなかった場合、吾輩の面目は永久に潰れてしまう――ああ、この期に及んで体面など気にしているこの身を、どうか浅ましいとは思わないでほしい。
 それにだ、もし奴が現れてしまったときにどうなるか、それもわからぬ。なにしろ奴がなにを考えておるのか、なにを企んでおるのか、こちらには見当もつかぬのだ。
 きっと、この思いは吾輩だけが抱いているものではないはずだ。大小の差こそあれ皆が不安で、皆が心配で……なのに、なぜ貴君だけはそうも断固としていられるのだ?」

 男の瞳には、眼前の若者を心底頼もしく思う気持ちと、対比としての己の老醜を自覚せずにはおられぬ痛みとが混淆したものが顕れています。
 この若者と出会ってから既に半年以上が過ぎておりましたが、その半年で、彼は己が急速に老境へと迫ったような気がしていました。

 信頼と畏れが一つに混ざり合った視線を涼しく受け止めて、若き呪使いは答えます。

「不安などありませんよ。私の自信は余儀なきものです。私は今日まで自分を第一の頼みとして生きてきた。私は私の信念を裏切らず、私の信念は私を裏切らない。
 ……それに今この瞬間、私には自身と同格に信じている者がいる。味方ではなく、ましてや友などでは絶対にないが」

 言葉を切って、若者は笑います。く、くく、と、武者震いめいて彼は嗤います。
 視線の彼方に、これまでに幾度と無く結んできた男の幻像を結んで。

「いよいよだ。貴様がどう出るのか、まずは楽しみにさせてもらうぞ。……なあ、語り部よ」

 運命の日の主役の片一方――左利きの、これがその朝の情景でした。


   ※


 さあ、さあ、さあ。お祭りの最終日は、ついに、満を持してやってまいりました。
 戸外に目を向けてみれば、そこにあるのは歓喜と歓楽の真骨頂、活況の水準はここに来て最絶頂です。
 めでたい空気も今日これまで、明日からは退屈な日常に逆戻り。
 人々は翌日を遠ざけるように目一杯楽しむことを楽しんで、商人たちはお仕舞いの需要に応じんとのんどを枯らして叫びます。
 さあいらっしゃい、いらっしゃい、泣いても笑っても今日が最後だよ!

 お天気は文句なしに最高です。蒼穹は雲一つ無い快晴のまったき青空、雨の気配なんて、地平線の向こうまで探しに行かなければ見つかりそうにありません。
 目に見えぬなにかに感謝したくなるほど恵まれたこの日和ひよりに、街路には見物人がわんさか、商売人もわんさか。

 そして、呪使いもわんさか。

 人手に沸く大路のそちこちに、あたかも祝祭空間の異物のように彼らの姿はありました。揃いの術衣を身に纏い、その象徴である杖を携えた男たち。
 今日という日のために集まってきた呪使いたちは、これからはじまる何事かに身構えてぴりぴりとした緊張を放っています。

「やれやれだな。あの連中は何年経とうとまるで変わる様子がない」

 前を歩く色の魔法使いが、平坦な口調で辛辣な批判を述べました。
 立ち止まった兄の視線をユカが辿ってみれば、その先にいるのは三十代とおぼしき呪使いの三人組です。それぞれに厳めしい表情をつくって監視するかのように群衆を睨み付けている彼らの傍を、近くを行き交う人たちは腫れ物扱いで避けて歩いています。
 ほとんど鼻つまみもの同然に見られていながら、当の三人組は通行人たちのこの反応を己らの威厳の表れと勘違いして得意げですらあります。

「……あるいは百年後もああなのかもしれないな、彼らは」
「なにも呪使いのすべてがそうだってわけじゃないよ」

 どこか本気で哀れむような兄の言葉に、ユカは面紗の向こうに苦笑を忍ばせて言いました。
 兄姉と再会した夜がそうであったように、今日のユカは完璧な女物語師の姿に身を装っておりました。
 先ほど申し上げた三人組のように、呪使いの中には『我らすべてにとっての不倶戴天ふぐたいてんの敵』たる語り部をいち早く見いだして手柄にせんと目論む者も少なからずいたのです。
 しかし、なにしろ伝えられている語り部の性別は女ではなく男。かくて気炎を上げている者にほどこの変装は有効な目くらましとして機能し、もう一つ伝えられていた情報である本棚、それを背負って隣を歩くリエッキの姿などまったく目に入らなくしてしまったようでした。

「それに、若い呪使いの中には自分たちの在り方に疑問を持つ者も出はじめてるみたいだし」
「今日君が再会を誓っている男を筆頭に、か?」

 色の魔法使いが言いました。とてもまじめな表情で。

「少しだけ驚いたぞ。時折君が親しげに『あいつ』なんて呼んでいた相手が、俺たちの歴史に参加する最後の一人が、まさか呪使いだったなんてな」
「別に親しくなんかないよ。あいつは友達でもなんでもない、名前すら知らないんだ」
「だが、君はその名も知らぬ男を信じている。そうだな?」

 彼はまっすぐに弟を見て問いました。
 ユカは少しだけ答えに迷ったあとで、はっきりと頷いて応じます。

「うん。信じてる、かな。そう、信じるに足る恐ろしい敵だよ、あいつは」

 弟の返答に満足そうに笑って、色の魔法使いは止まっていた足を再び前に出しました。
 一行の目指す中央広場は、市街図から見れば真ん中よりほんのわずか右下に位置する場所にありました。街の中心と目されるそこは、同時に祝祭の中心でもありました。広場の内部には商人の出店は一切認められておらず、そこに集まっているのは、たとえば大道芸人に火吹き芸人、猿回しに手品てづま師に人形使い。前述した彼らがやんやの喝采を浴びている傍で迷惑そうに騒音に眉をしかめているのは、吟遊詩人に楽師に喉自慢、それにユカと同業の物語師です。
 あらゆる芸人たちが自由に芸を披露し、見物人たちは笑い転げておひねりをなげる。そこは、さながら楽しさと陽気さの百貨博覧市でございました。

 混雑する広場の片隅、商売あがったりの物語師や吟遊詩人たちが集中して休んでいる一角を選んで、ユカは本棚をおろしてもらいます。
 それから、一緒にここまで来てくれたみんなの顔を見渡して言いました。

「それじゃ、ひとつ張り切ってかたってくるよ。ちゃんと見ててね」

 まるでちょっと近くまで出かけてくるというような気軽さでそう告げたユカの前に、骨の魔法使いが進み出ます。
 次の瞬間、母はおもむろに我が子を抱きしめたのでした。

「……私が世界一幸せな母親だってこと、いままで何度くらい言ったかしら?」
「わからないよ。だって小さい時から何度も言われてるんだから」
「そう。それじゃあ、今ここでもう一度言っておくわね」

 抱きしめる力が少しだけ強くなったことにユカは気づきました。

「あなたは母様の宝物です。あなたって子に恵まれた母様は、世界一幸せな母親です。だから……ね? ちゃんと見てるから、見守ってるから、ユカ――しっかりやってきなさいね」

 骨の魔法使いが終わると、次は踊り子の番でした。
 母のそれと比べると幾分無造作で、幾分乱暴で、しかし真心は母に負けぬほども込められた抱擁がユカを包み込みます。

「ね、ユカくん、覚えてる? 君とリエッキちゃんとあたしが、はじめて出会った夜のこと」
「うん。もちろん覚えてるよ」

 忘れるわけないよ、とユカは付け加えます。素晴らしい出会いの夜、その後の三人の関係を象徴するような楽しさに満ちた夜……いったい、どうして忘れることができましょうか?

「あの夜知り合った面白い男の子にさ、あたしは確かこう言ったと思うんだ。『君は将来もっともっと面白いことをしでかす気がする』って。……ほんと、言ったとおりになりそうだね」

 まいったなぁ、あたしってば予言者だったのかも――踊り子はそう言って笑います。

「お腹の子と二人、全力で見届ける。だからさ、ユカくん――しっかりやっておいで!」

 最後に人差し指でユカの頬をつつくと、踊り子は手を振って弟から離れました。

 家族の言葉がユカに注いだのは、勇気でしょうか? 闘志でしょうか? それとも、その両方?
 いいえ、違います。その二つばかりでなく、ここ一番の勝負に向かう男子にとって必要であり重要なすべてを、あらゆる大切な気持ちを彼女たちは与えてくれたのです。
 その後、母と姉に続いたのは寡黙な兄でした。
 お次は自分の番だとばかりに半歩踏み出した色の魔法使いは、すぐになにか言おうとして、しかし、なぜだか発しようとした言葉を飲み込んでそのまま黙ってしまいました。
 彼はいっときユカから視線を離し、虚空に向かって二、三の言葉を投げかけます。まるで、彼以外の誰にも感知できない何者かと話しているかのように。
 それから、兄は唐突にユカの肩を叩きます。穏やかで、とても優しい叩き方。しかし、姉と母がしてくれた抱擁にも勝って暖かな何かを伝えてくる、そんな叩き方でもありました。

「……俺は、まだまだ新米の兄貴だからな。こういうときに弟に対してどんなことを言えばいいのか、少しばかり兄貴業の先輩に相談してたんだ」

 色の魔法使いは言い訳するように言い、それから、きっぱりとした語調で続けました。

「今更言うまでもないとは思うが、いまここにいる者たちは、みんな君を愛しているんだ。お母上も、俺の妻であり君の姉である彼女も。それに、もちろんこの俺もだ」

 平坦な口調で言い表される率直な言葉にユカは少しだけ赤面します。ほんとにこの人は昔からこうなんだから、踊り子が呆れたため息をつき、骨の魔法使いがくすりと小さく笑います。

 この場にいるのに名前を挙げられなかった者がいたことには、誰も気づきませんでした。

「みんな君を愛している」

 色の魔法使いは、仕切り直すようにもう一度言いました。

「みんな君を愛している。だから、それを言葉や態度で表すことを誰も躊躇ったりしない。だがな、ユカ。言葉にされるものが必ずしも言葉にされないものに勝るのかといえば、それは違う。
 ……これはあくまでも仮定の話だが、たとえば沈黙を守ることにより絶大な愛情を貫こうとしている、そうした不器用者だってどこかにいるかもしれない」

 ほんの一瞬、見られた本人さえそれとわからぬほどのごく一瞬だけ、膚絵師は彼女を見ました。宿を出てからこのかた一言も口を利いていない、人の姿をした竜を。

「だから、なぁユカ。いつかもし君がそういう愛情の存在に気づいたら、そのときは、是非ともそれに報いてやってほしい。かつて不器用過ぎるほど不器用だった男からのお願いだ」

 まぁ、俺の場合は一生かけて報いる側の立場なんだけどな――自嘲めいてそう言った色の魔法使いを、当たり前でしょうこの優男! と踊り子がどやしつけます。なにがかつて不器用だった、よ! 今でも現在進行形で力一杯不器用じゃない! こんな時に普段出さない惚気を出して――赤面して言いつのる妻にたじたじになりながら、色の魔法使いはさらに言いました。
 なぁユカ、愛の力は偉大で、偉大なほどに重いぞ。この通り、敷かれ甲斐はばっちりだ。

 兄がなにを伝えようとしていたのか、ユカにはよくわかりませんでした。けれど、それがただの場違いな惚気などでないことだけはきちんと了解しています。
 自分でそう言った通り、彼の兄は不器用過ぎるほどに不器用な男で、しかし無意味なことは決して言わない人なのです。

「大事の前にとりとめの無いことを言ってすまなかったな。だがまぁ、とにかくだ。俺は癒すだけしか能のない魔法使いだが、しかし癒すことについてなら誰にも負けはしない。どんな怪我でも必ず、絶対に治してやる。だから、安心していってこい。――しっかりやってこい」

 安心しろ、と彼は言いました。どんな怪我でも必ず、絶対に治す、と。
 頼もしく力強いその言葉には、ユカではなく別の誰かに言い聞かせているような不思議な響きがありました。

 かくして激励の時間は終わりを迎えます。
 いいえ、本当はまだあと一人だけ言葉をかけてない者が残っていました。しかし彼女は――リエッキは、それを必要ないと断じたのです。
 はん、といつものように鼻を鳴らして、そんな大げさなこといるもんかと彼女は言いました。こいつはいつも通り難なくすべてを平らげちまう。わたしはなんにも心配なんかしちゃいない。だから、別に言うことなんてなにもない。
 結局、リエッキはユカに一言も言葉をかけませんでした。
 なにも言わないまま、他の三人とともにただ観衆の一員となるべく、彼女は顔のない人群の中に去っていきます。

 柄にもなく、ユカはそのことを少しだけ寂しく感じておりました。

 と、そのときです。
 混雑する見物人の列から、一人取り残された語り部に呼びかける声があがったのです。

「――ユカ!」

 リエッキでした。
 周囲にいる全員が振り返るほどの大声を出した彼女は、そうしたあとでようやく自分が声を張っていたことに気づいたようでした。
 周りの視線から逃れるように俯きがちになり、それから、なにかを言おうとしてはその言葉を呑み込んで、というのを幾度か繰り返します。
 そのあとで、リエッキはたった一言だけユカに向かって叫んだのでした。

「――しっかりってこいよ!」

 言葉の余韻だけを残して、彼女は今度こそ群衆の中に引っ込んでしまいました。
 しばらくのあいだ、ユカはぽかんとしてその場に立ちつくします。親友の消えた雑踏を見渡し、それから空を見上げました。
 雲の欠片すらない、真っ青な蒼穹がそこにはあります。

 百人力だ、と語り部は呟きます。
 意志とは無関係に、頬が笑顔に綻びます。

 一千の言葉にも勝るたった一言を胸に、彼は本棚に向かい直りました。

「よう、同業者かい? お嬢さん」

 近くにいた物語師が、女装のユカに話しかけてきます。
 ダメだダメだ、こうもうるさくっちゃ俺らの本領は発揮できんよ――吐き捨てるような物語師の言葉に、楽師や歌い手、騒音を大敵とする芸人たちがしきりに頷いて同意を示します。
 あのですね、午後、一人ずつ舞台で芸を披露する時間がありますから。だから、お嬢さん、それまでは休んでいるのが得策で――。

「ありがとう。でも大丈夫。今の僕になら、きっと街全体にだって物語を届けることができるから」

 芸人たちが、面紗の向こうに発せられた少年の口調に目をぱちくりさせました。ユカはそれには少しも構わずに、本棚から一冊選んで、手に取ります。
 そして、呪使いがおまじないを唱えるように、物語を唱えはじめました。
 魔法ものがたりを。

 ――そうだ、今の僕にできないことなんて、ひとつもない。

 総身を満たす万能感に打ち震えながら、ユカはやおら本棚に飛び乗ります。
 天板に腰掛けて座り、少しだけ高くなった目線から唖然の度合いを深めている芸人たちに笑顔を送ります。

 そして、かたりはじめます。


   ※


 読者よ、親愛なる読み手よ。
 かくして、物語は放たれました。
 かくして、運命の一日は幕を開けたのです。
 ユカにとって、左利きにとって、そして、すべての魔法使いと呪使いにとって特別なものとなる一日は。

 物語の日は。

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