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白馬探の大切な人
作:洋



第56話 突入!


――いつからだったろう?
  父を『悪い人』だと認識し始めたのは。

――いつからだったろう?
  父の夢に共感できなくなったのは。

――いつからだったろう?
  母の言うことが信じられなくなったのは。

――いつからだったろう?
  自分が独りぼっちだと気付いたのは。

――いつからだったろう?
  大切な人たちが、みんな『悪い人』だと気付いたのは。

子供の頃の夢も、初めての恋も、みんなみんな、もうすぐ終わる。
終わりはこんなに明確なのに、どうして始まりが思い出せないのだろう?

一体、こんなに悲しくなったのは

い つ か ら だ っ た ろ う ・・・?



 まだ、大人が巨人に見えていた頃だった。
台所の椅子に上るのが、手に負えないくらい大変な頃だった。
自分の部屋のドアが、見上げるほどに大きかった頃だった。
ほとんど教科書が入っていないはずのランドセルが、たまらなく重かった頃だった。



 小川の側で、母と二人で遊んでいる。
背後から、大好きな父の声がした。

「馨!」

馨が、満面の笑みで振り返る。

「パパ!」

 小学生になって買ってもらったばかりのピンク色の靴で、馨は駆け出した。
目の前では、父が大きく腕を広げている。

 小川の心地よいせせらぎが聞こえていた。
色とりどりの花が、辺りを埋め尽くしている。
一歩踏みしめるたびに、足の裏で柔らかい音がした。

「パパぁ!!」

 馨は、父の腕に飛び込んだ。
そのまま持ち上げられて、高い高いされる。
気付くと、自分のまわりのあらゆるもの――草や花や、父の顔までも――が、自分の下にあった。

 いつも父のことは、『世界でいちばん大きな人』だと思っていた。
立派にお仕事をして、家族のために夢を持って、誰より優しかった。
そんな『世界でいちばん大きな父』を、馨はいつも見上げていた。

 だからこうして父に抱き上げられると、自分は世界でいちばん高いところにいるみたいに思える。
いや、きっとそうに違いないと思った。

「パパ、おしごと終わったの?」

そう聞くと、父は馨を抱き上げたまま、子供のような笑顔で答えた。

「馨、やったぞ!とうとう見つけたよ、重要な手掛かりを!もうすぐ、私たちの夢が叶うぞ!!」

 父が笑うと、自分も嬉しくなった。
その『夢』が、世界でいちばん素敵なものに思えてきた。
いつだって父は、自分にとって『世界でいちばん』だった。
世界でいちばん大好きな人だった。

 母は、世界で『にばんめ』。だから自分は、世界で『さんばんめ』の大人になるんだと、漠然と思っていた。

 父も笑い、母も笑う。
世界でいちばん、素敵な夢だ。

――だが、いつからだったろう。
  それが『世界でいちばん悪い夢』だと気付いたのは。

 あの頃はただ、小川のせせらぎに包まれて、夢を見ていた。
父も、母も、自分も。

 だが今は、自分だけが夢から覚めている。
独りぼっちだ。

小川のせせらぎが聞こえる。

「馨、私たち家族は、ずっと一緒に居ような!いくつになっても、ずっとずっと、永遠にだ!!」

「うん!!」

――ああ・・・一体、いつからだったろう・・・?
  いつから、あの綺麗な小川のせせらぎが聞こえなくなったのだろう。
  いつから、こんなわざとらしい、作りモノのようなせせらぎしか聞こえなくなったのだろう。

  一体、いつから・・・?

 父の夢は、不老不死の方法を手に入れて、家族全員が永遠の命を共に生きることだった。
幼くして両親を失った彼にとって、家族の死は耐え難いものだった。
この世の何より、『他人の死』が怖かった。
だから彼は、愛する者たちと永遠の時を生きたかったのだ。

 当時の馨は、それがとてつもなく素晴らしいことに思えていた。
大好きな父や母と、永遠に一緒に居られるなんて、素晴らしいとしか言いようがない。

 しかしいつからか、その夢は馨にとって悪夢に変わっていた。
自分の家族以外の大切な友人や親戚が、次々と自分たちをのこして死んでいくのを見送らなければならなくなる。
自分の大切な人たちが最後の一人になるまで、真っ黒な喪服に身を包んで葬式に参列しなければならなくなる。

 『永遠』というのは、底なしの沼のように恐ろしい。
一見輝かしい言葉のように思えるが、絶望の中で経験する『永遠』は、死よりもつらいことだ。

 いつまで経っても、底に足が付かない。終わり無く沈んでいくだけだ。
よく『どん底からい上がる』と言うけれど、その『どん底』に行き着かないのだ、永遠というものは。
 どん底に付かなければ、這い上がることも出来ない。
ただただ、着実に深くなる闇の底に沈んでいくしかないのだ。

 そう気付いたのは、いつだったろうか。
それから、父と向かい合うのが怖くなった。
その父を心から尊敬し、どこまでも付き従う忠実な母の言葉が怖くなった。
 馨は恐怖の沼に落ちていった。

 だがその恐怖の沼には、『底』があった。
啓吾ウノと出会うことで、彼女の落下は止まり、『どん底』に着いたのだ。
這い上がる手を、彼は差し延べてくれた。

いつか、彼と二人でこの沼の『どん底』から這い上がり、どこか綺麗な小川で、体を洗い流したい。

子供の頃とは違う夢を持って、あの安らぎの小川のせせらぎの中に、帰りたい・・・・・・






 馨が目を開けると、せせらぎの音がだんだん遠ざかっていった。
代わりに聞こえてきたのは、何かに向かって猛然と進んでいくような、力強いバイクのエンジン音。
二人の勇敢な少年たちを乗せたそのバイクは、あっという間に見えなくなった。

――お願い。私の大切な人たちを、悪い夢から救って。探偵さんたち・・・

 馨は震える手で、コートの中の書類を握り締めた。
自分にも、やらなければならないことがある。
だがそれは、あの少年たちがこの状況を打開してくれなければ意味を成さない。
今はただ、過酷な運命に逆らって走り出した若き探偵たちを信じるしかなかった。






 探は初体験のバイクのすさまじい風圧に必死に耐えながら、平次の後ろでバランスを取っていた。
本当なら、こんな予定ではなかったのだが。

 予定の作戦では、あれからキッドが22階にいる葵を救出して解決するはずだった。
だが、その最後の段階で思いがけず聞こえてきた葵の悲鳴と、冷たい響きを持ったウノの声が立ちはだかったのだ。

 手短に父や馨と相談してから、勢いで平次のバイクに飛び乗ってしまったが、正直今後が心配だった。
 何より不安なのは葵の身だ。
あの悲鳴が、無線越しでさえあれ程長く大きく聞こえたのだから、きっと命の危険にさらされているに違いない。
 ウノがただ者でない男であるがゆえに、一層探の不安と焦りをかき立てていた。

 どうも腰が安定しないバイクは、今まで探が経験したことのないスピードで爆走していった。
キッド騒ぎで警視庁へ向かう車の波も、そこから離れていく過程で序々に減っていき、彼らが今走っている大通りは普段と同じ程度の交通量になっていた。
そのおかげで、スムーズに走れている。

 探は、キッドが電源を入れっぱなしらしい無線の音を何とか拾おうとしたが、こんないかついヘルメットを被っていては無理だ。
彼は迷わずそれを脱ぎ、無線を耳に押し当てた。
バイクのスピードのせいで何倍にも鋭くなった冷たい風が、探の髪を吹き抜ける。
 吹きすさぶ風の音がまだうるさかったが、何とか無線の声は聞こえた。

探の行動を背中で感じたのだろう、平次が首をわずかに背後に回して怒鳴った。

「おい!お前それ交通違反やろ!!早よヘルメットせぇや!!」

探が怒鳴り返す。

「こうしないと無線が聞こえないんですよ!!こんな状況での交通違反は仕方ないでしょう!?後で父に何とかしてもらいます!!」

「なんちゅーやっちゃ!!捕まっても弁解したらんで!?」

そう叫ぶと、平次はそれ以上何も言わずに前に向き直った。

 探は耳に押し当てた無線に意識を集中させる。
ニセ副総監とウノの話し声が聞こえていた。






 バイクの爆音と、犯罪スレスレの会話で騒がしい無線を片手にぶら下げたまま、キッドは銃を構えるウノと向き合っていた。
びっしりと額を覆う冷や汗は、ありがたいことに変装マスクの下に隠れている。
彼は副総監の声色を作って言った。

「何の真似だ、ウノ」

ウノは口の片端を上げてほくそ笑んだ。

「とぼけんな。あんたはボスじゃねぇだろ?白馬探の声がする無線を持ってる時点で、明らかに俺たちの敵だ」

 それを聞いたキッドは、もう悪あがきが無駄だと悟った。
声色を戻して、顔のマスクの端に手を掛ける。

「お見事です」

一気にマスクを脱ぎ、同時に警察の制服も体から引きはがした。

 変装の細かい切れっ端が、まるで桜吹雪のように辺りに舞う。
それを一瞬で吹き飛ばして、キッドは純白のマントをひるがえした。

どこからか取り出したシルクハットを被ったこの白き罪人の姿に、ウノは驚きもせずに言う。

「やっぱりお前か、怪盗キッド」

相変わらず自分のほうを向いている銃口から目を離さず、キッドは問うた。

「一体いつから、私が偽物だと?」

ウノの不敵な笑みは、まだ消えない。

「最初からだ。お前が談話室に来た、あの時から。知らねぇかもしれねえが、ボスは最近禁煙を止めてな。胸ポケットにはいつもタバコの箱が入ってんだよ」

ウノが、自分の胸を指しながら言った。

「それが、あの時のお前は持ってなかった。こりゃおかしいと後を付けたら、案の定警視庁に戻る気配がない。だから俺は反対側の階段を駆け上がって、ここに先回りしたってわけよ。宝石も盗んだみてぇだしな」

 それは予想外だった。警視総監らから聞いていた分には、副総監はタバコを吸わないはずだったのだ。
 以前にもタバコが原因で正体がバレていた、という記憶がちらっと頭をかすめたが、彼はそれを覆い隠すように笑みを作った。

「ほぅ・・・さすが副総監の右腕に君臨するお方ですね。それだけで見抜くとは」

「もちろんそれだけじゃねぇさ。俺はボスと付き合いが長いんだ。雰囲気の違いぐらい一発でわかる」

「しかし、仮に私を偽物だと見抜けたとしても、なぜキッドだとわかったんです?」

 キッドの顔は笑ってはいるが、実はこの疑問はかなり重要で、そして不安な点だった。
もし予告状を出した時点でウノが、キッドが何か企んでいると気付いたのなら、すでに何か先手を打たれているかもしれない。
 この会話がしっかりと探に聞こえるよう、キッドは無線をそれとなく持ち上げた。

ウノの瞳に、強い光が宿る。

「まぁ、半分以上は勘だ。宝石も盗んでたし、あそこまで完璧な変装が出来るヤツなんて、お前くらいしか思い当たらなかったからな」

一瞬「なるほど」という顔をしたキッドだったが、すぐに真剣な表情に変わってウノの背後の扉に目をやる。

「・・・葵嬢に、何をしたんですか?」

真っ直ぐにキッドを見据えるウノの目が、彼を射抜くようだった。

「心配すんな。スタンガンで眠ってもらっただけだ。騒がれると厄介だからな」






 その会話の一部始終を聞いていた探は、一人で身を固くした。
恐ろしく鋭い男だ、ウノというのは。
これから現場に行っても、何も出来ないかもしれない。
 葵が気絶しているだけだということがせめてもの救いだったが、このままでは作戦が失敗して何もかもばれ、監禁場所を移されてしまう可能性もある。

その時、平次が振り返った。

「おい白馬!今、どんな状況なんや!?」

その言葉に、探は無線を切って答えた。

「非常に危険です!!ウノに、何もかも見破られています!!とにかく急いで下さい!!」

 現場に行っても、何も出来ないかもしれない。
だが、「行かねばならない」という確かな思いが、探にはあった。
 大切な人一人守れないで、何が探偵だ。自分には、持てる力精一杯で運命に立ち向かう義務がある。
彼は諦めなかった。
 前方に高くそびえる白いビルが、もう目前にまで迫っている。
再び無線のスイッチを入れると、ウノの声がした。






「お前の狙いは、やっぱり宝石か?だったら何で、警察と組んで葵を助ける必要がある?」

 キッドは答えなかった。
非常口の緑のライトに照らされた銃が、物言わず自分をとらえている。

その視線に気付いたのか、ウノは急に話題を変えた。

「そういえばお前、談話室で俺たち全員が持ってた銃と携帯をったみてぇだが、無駄だったな」

 そうなのだ。キッドがわざわざ談話室に顔を出したのは、組織の連中が一人残らず集まっている時に銃と携帯を密かに回収するためだった。
具体的には、彼が全員に声をかけて肩を叩いた、あの瞬間に。

 もし不審に思われて、誰かが携帯で本物の副総監に連絡を取ったり、もしくは何らかの用件で、警視庁に居る副総監がビル内の誰かに連絡を取ったりすれば、この作戦はおしまいだ。
 そのためにキッドは探から、全員の携帯電話を事前に摺るように言われていた。
それと、万一の時に組織を無防備にするため、ふところの銃も一緒に、と。

 その任務を完璧にこなした自信はあった。
回収したそれらは一つにまとめて、途中で見つけたトイレの中にしっかりと隠してきたはずだ。

 だが、今目の前に居るウノは、キッドのその自信を嘲笑あざわらうかのように銃をつきつけている。

「甘かったな。俺は用意周到な男だからよ、自分の部屋に予備を持ってんだ。携帯もな」

そう言うとウノは、ズボンのポケットから黒い携帯を取り出した。

「これはプライベート用のだがな」

 もはや、事態は絶望的だ。
キッドはポーカーフェイスを装いながらも、これからどうするか必死に頭を回転させていた。






無線の向こう側に聞き耳を立てていた探に、平次が急に声を掛けた。

「あのビルやろ!?」

そこでようやく前方に目を移した探は、慌てて叫んだ。

「一旦停めて下さい!!あの路地に入って!!」

「ちょっ・・・何や!?」

「いいから早く!!」

 訳がわからなかったが、探のただならぬ形相に平次は急いでハンドルを切り、言われた通り細い路地に車体を滑り込ませた。
 少々強引なその運転に、バイクは停車と共に彼らを振り落としそうになった。

「うわっととと!!」

 半ば転げ落ちる形で、二人は地に足をつけた。
久々の硬い地面の感覚に、探は思わずよろける。
が、すぐにしっかりと体勢を立て直した。

平次が息を荒げて尋ねた。

「一体どうしたっちゅうねん!?何で止めたんや!?」

探も同じく荒い息で、額に浮いた汗を拭う。

「言い忘れてましたが、ビルの周りは見張りに囲まれているんです。迂闊うかつに近付くと見つかります」

平次は言葉を失って、短く舌打ちをした。

 ビルに近づけないのなら、何も出来ない。
先ほどの無線の会話から、ウノがキッドに銃を突きつけていることがわかった。
これでは状況は、圧倒的にこちらが不利だ。






「どうやら白馬探が、こっちに向かってるみてぇだな」

キッドの手の無線から聞こえてくる声を拾って、ウノが言う。

「あいつもなかなかだな。何で葵が生きてることがバレたんだ」

そうつぶやくと、ウノは再びキッドに視線を戻した。

「まぁ良い。おいお前、俺についてこっちへ来い」

 銃をこちらに向けたまま後ずさりを始めたウノに、キッドは一定の距離を保ったまま続いた。
開けっ放しだったドアの中に、じっくり時間をかけて体を滑り込ませる。

 始終油断なくにらみ合ったまま、彼らは葵が監禁されていた部屋へ入った。
まだ、暖房が付いている。廊下よりもぬるい空気が、二人を迎えた。

 ドアの上の非常口を示す緑色のランプが、部屋の中の底なしの沼のような暗闇をほんの少しだけ照らし出す。
向き合うウノの冷徹な顔に更に影が差し、ギラギラ光る目がより一層際立った。

 と、彼のその目がふいに脇へれた。
その視線を追ったキッドの目に、うつぶせに横たわる女性の姿が浮かび上がった。

 彼女は背を天井に向け、細い手足を床に投げ出している。
豊かな髪が顔を覆い、おぼろげに開かれた唇だけが見えた。
着ている白いカーディガンに、緑色の明かりが不気味にこびり付いている。

その姿をあごで示しながら、ウノが言った。

「お前もこいつと同じように、しばらくここで大人しくしててもらおうか」

キッドはウノに視線を戻し、力強く言い放った。

「例え私をここで足止め出来たとしても、あなた方の犯罪は警視総監に見破られているんですから、悪あがきは通用しませんよ」

「フン・・・そんなこたぁわかってるよ。だが俺がボスに連絡して、どっかへトンズラする時間くれぇは稼げるだろ」

ウノは、再び携帯を取り出した。

「まぁ、ボスへの連絡は後回しだ。とりあえず・・・宝石を返せ」






「一体これから、どうすんねや!?」

平次が苛立たしげに言った。

 そびえ立つビルは目の前にあるというのに、ここまで来て足止めをくらうとは、何とももどかしいことだった。

「何とかキッドがウノを振り切って、葵さんを連れ出してくれれば全て終わるんですが・・・相手は銃を持っているし・・・」

 探は頭を抱えた。
そう・・・キッドが葵を、ビル内から助け出してくれるだけで良いのだ。
それさえクリアすれば、こちらが勝ったも同然だ。

 しかし、今はそれが出来ない。
何とかキッドを援護するしか無いのだが・・・

「おい白馬!あの階段、非常口とちゃうか!?」

 唐突に、平次が言った。
驚いて、彼の指差す方を見た探の顔に、一筋の希望が差した。

 そこには、ビルの外壁に沿って淡々と取り付けられている非常階段が見えた。
建物の敷地内の地面から、ビルの最上階まで続いている。もちろん、今キッドたちの居る22階にも入れるようになっていた。



 数分間、探と平次は無線のスイッチを切って小声で話し合った。
それが終わると、それぞれの準備にとりかかる。

やがて彼らは、もう突入するだけの状態になっていた。

バイクにまたがって、威勢の良いエンジン音を響かせている平次を振り返って、探が言った。

「すみません、服部君・・・たまたま来ただけの君に、こんな危険なことをお願いしてしまって・・・」

だが平次は、そんな探の暗い声を吹き飛ばすかのように、ヘルメット越しにカラッと笑った。

「血の気が多い男に、何今さら謝ってんねん!ここまで来て何もせんかったら、探偵の名が泣くわ!!」

一通り笑うと、平次はぐっと拳を突き出した。

「お互いに・・・健闘を祈るで!」

きょとんとしていた探だったが、やがてフッと笑って、拳を出した。

二人の拳が、鈍い音を立ててぶつかる。

彼らは前方に向き直り、力強く走り出した。












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