とある私立探偵の事件簿・ファイル1 〜百円ショップ殺人事件〜(4/4)PDFで表示縦書き表示RDF


とある私立探偵の事件簿・ファイル1 〜百円ショップ殺人事件〜
作:リート



パート4 歩き始める


 山口さんの過去を徹底的に調べれば、おそらく、動機は推察できるだろう。
 でも、私はそれをしなかった。
 本人から聞く以外の方法で知ってはいけないような気がするから。職務怠慢と言われても仕方が無いのだけれど、土足で踏み込んではいけないと、私は思ってしまった。
 
   *
 
「以上が、調査の結果です」
 私は山口秀樹が犯人であった事と彼の語った言葉を、そして彼が自首した事を依頼人の二人に聞かせた。
「どうも、ありがとう」
「……ありがとうございました」
 複雑な表情の二人は、それでも、前を向いて、事務所を後にした。
 
 ……これで、本当によかったのだろうか?
 私が今回したことといえば、ただの推測で、一人の人の人生を奈落の底に叩き落したことだけ。
 報告結果だって、二人の知りたかった事にまでは言及していない。
 結局、私は……
 
   *
 
『っぷはぁ〜!』
 私とゲンさんは空になった缶を机に叩きつける。
「まだ飲むか?」
「お願いします〜」
 私は事務所備え付けの台所へ向かうゲンさんの背中を見ながら、心の中でそっと感謝の言葉を呟く。
 ――いつも、ありがとう。
 ゲンさんの気遣いが、いつもながらに心に染み入るようで。
「あ、おつまみも食べたいです〜」
「おう、任せとけ!」
 
 その日、私はのしかかるやりきれない気持ちを吹き飛ばすかのように、浴びるようにビールを飲みまくり……
 
 めでたく、次の日に二日酔いで倒れました。
 
 
 とある私立探偵の事件簿・ファイル1 〜百円ショップ殺人事件〜  ――完――


以上、最終話でした。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
感動でもなく、すっきりもしない終わり方になってしまいました。オチ自体はサスペンス風に仕上げてみたのですが……いかがでしたでしょうか?
ご感想等、心よりお待ちしております。













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