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生か死か
作:ラグ



第二巻「革命という名のエロヒズム」


朝の8時30分、生徒達は約1ヶ月半ぶりに自分の教室の席に腰を下ろす。どこにいっただのあれが楽しかっただのと、夏休み明けとあって騒がしい生徒達

「……ねぇ、聞いて聞いて〜、今日の朝スカートめくりの変態やろうに絡まれちゃってさ〜……」

瞳は黒いが金髪でセミロング髪を短くまとめているこの少女は『まじ最悪、奈美も気をつけなよ?』とか言いながら隣の少女、奈美に話しかける

「ふ〜ん、実は私も朝スカートめくられたんだぁ」

にぱっ

鼻歌交じりの少女はこれでもかってぐらいの笑顔で答える

「!?」

一瞬の沈黙、辺りは男子生徒も含め静まり返った

「……え?! いや、『にぱっ』じゃなくて、え!!」

「誰ですか?! その不届きもの野郎は! そんな下卑た野郎はこの奈美さん親衛隊である田中 康夫(たなか やすお)がしとめて差し上げましょう! くっそ〜、奈美さんのパンツを見た野郎には死こそふさわし……グフッ!」

金髪少女の一撃で完全に沈黙した田中。その表情は少し嬉しそうでもある

「私が話してんだよクソ坊主が! ……ねぇ、あんた大丈夫だった? 多分あんたがいつもほわほわしてるから狙われたのよ。……ックソ、あいつ今度会ったら頭かち割ってやる!」

「え〜、い〜よ〜。私嬉しかったもん」

(・Д・)

「ハッ! いけない、私としたことが……。とりあえず高校入ってからの親友にいい加減一言いっておくわ」

「なぁに?」

にこにこ

「あんたってやつはどこまでお人好しなのよーーー!!」

声を荒げて奈美を凝視する

「には〜」

奈美は笑顔のまま。全くもって聞く耳をもってないようだ

「……ハァ、もういいわ、私は疲れた」

グッタリと机の上にひれ伏していると誰かが声をかけてきた

「無駄だっていつも言ってんだろ? 五年間も一緒にいる俺が言ってんだ、もう完璧なビーナス以上にこいつはお人好しさ」

「雅樹、あんたねぇ。そんなことじゃ誰か腹黒い男に奈美取られちゃうわよ」

容姿は普通だが仕事を任せるとなんでも完璧にこなしてしまうというスキルをもつこいつは進藤 雅樹(しんどう まさき)。奈美と中学からの友達らしく、ノリがよい好少年だ。私のカンだと奈美のことを好きなふしあり

「……大丈夫、あいつはただある男の為だけに自分を磨いてるだけだから他の男になんか目はいかねぇよ」

「あなたはこの話題になるといつもそう言うけど、誰なのよ? その男は」

こいつは奈美のことが好きなのはありありと伺えるのに聞くと告白やそれらしきことはまだ一度もしたことがないという。理由はあいつが今言ったとおり『奈美には他に好きな男がいるから』らしいが、奈美にその男のことを聞いても『には〜』とか言ってなんかトランス状態になっちゃうし、こいつに言っても

「ま、運が良きゃそのうち会えるさ」

とはぐらかされるのだ

ガチャ

その時、教室のドアが開いた

「なによそれっ、て、あら? やっと先生が来たのかしら、随分遅かっ……あ〜〜!?」

颯爽さっそうとでてきたのは先生ではなく少年、少年はハイテンションの上をいくかのような勢いで

「おはよう、麗しき女々方々、そして俺という存在を上げる為だけにいる男ども諸君! 俺の名は遠山 精一! 俺がこの学校に来たからにはこれから皆さんに安息の日々を送らせないことを約束しよう!」


と宣言するのだった

教室はパニックに陥った

「! あんたは今朝の変態やろう!! なんであんたがこんなところに!」

「こらー! 先生がでる前に勝手に出てきて挨拶するんじゃね〜!」

「ゲッ! マジで精一かよ。運が良かったんだか悪かったんだか……」

ざわざわ

ざわざわ

荒れる教室、予想したとおり突然の美少年の往来に混乱中。が、そんな中ただ1人だけ取り乱していない者

「せっちゃ〜ん、同じクラスだね、奈美嬉しい〜」

とてとて

「せっちゃん」

ギュッ

奈美は俺に抱きついた

「おぉ、麗しき奈美よ、今朝だけじゃ飽きたらずまだ抱きついてくるとはエロエロ度が以前よりパワーアップしてるな」

中学からの三年間本当に誰とも付き合っていないのならその道理もうなずけるな。うん

「だってせっちゃんだからだもん!」

ギュギュ

「……意味はわからんがわかった。つまりは『俺=格好いい』という方程式が成り立つということだな?」

「うんうん!」

ギュギュギュッ

「そうかそうか、多分訳わかんなく頷いたっぽい奈美はいい子だよ」

なでなで

「には〜」

昔からなでられるのが好きな奈美だったため、精一が撫でると猫のように目を細めながら気持ちよさそうにため息をついた

………

「ウォエエエエエエ!!」

生徒一同大パニック、教室はまさに混沌(カオス)と化した


…………


いろいろあってようやく大パニックが収まった頃

「ハァ、ハァ……、と、いうわけで今日は転校生が来た。遠山精一というのでみんな仲良くしてやってくれ。で、席なんだが……」

先生が席を指定する瞬間、奈美が勢い良く手を挙げて

「はいは〜い! 私の隣がひとつ空いてまーす!」

と叫んだ。ほう、奈美の隣が俺か。これは面白いことになりそうだ

「いや、そこは田中の席なんだが……」

そう思っていたらどうやら違うらしい。先生は困り顔で奈美を見ているとさらに批判の声が上がった

「そんだそんだ、俺があまたの試練を乗り越え金まで払ったこの席はゆずらんわ!!」

そうか。ここはどうやら田中という奴の席らしい。どうしたものかと思っていると奈美は一つ俺にウィンクして田中に詰め寄った。どうやら考えがあるらしい

「田中君、確か田中君は今日付けで隣のクラスにクラス替えするからいいんだよね?」

ウルウル

上目遣いで田中の目を見ながら奈美は田中にクラス替えを要求する

「え? い、いや、いくら奈美さんでもそれは……」

さすがの田中も講義するが、所詮は男。奈美の上目遣いにかなう筈はないな

「い・い・ん・だ・よ・ね?」

ウルウルウル

「ウッ……」

ポン、と、その時誰かが肩に手を乗せた

「諦めるんだな田中とや。お前の分まで俺が奈美さんといちゃいちゃしてやるから諦めろ」

「やったー!! せっちゃんが隣だー!! これは運命だったんだねぇ〜」

「チックショ〜! 遠山精一、末代まで呪ってやるからな〜!!」

そうして田中康夫は隣のクラスに転期した

「運命とはいえかくも無情なものよ」

やはり俺のカリスマ性に男どもはひれ伏す運命のようだな。俺サイコー!

そう思っていると後ろから誰かが話しかけてきた

「お前のその性格、全然治ってねぇな」

呆れ顔で来た男はなれなれしく俺に話しかけてきたが、こいつどっかで……

「ん? ぉお! 誰かと思えば雅樹じゃないか! どうだい? 少しはその奥手すぎる性格は治ったのかな?」

そう、こいつは俺がこの町から引っ越す前の親友である。昔はいろいろタッグを組んでやらかしたものだ

「ッチ、てめぇが積極的すぎんの。どこの学校にパニック宣言をいきなりする転校生がいんだよ」

この調子じゃあこいつの性格はほとんど変わっていないらしい。つまり真面目一徹ってことね

「ま、君のようなシャイボーイには俺の高級なセンスはわからなかったかな」

ま、さすがにやりすぎたかもしれないが

「あ〜、こいつ全くもって性格変わってね〜な」

……どうやら性格についてはお互い様だったらしい

…………


教室が先生の頑張りによりようやく静かになった頃……

「いや〜、しかし懐かしいなぁ、三年前とは思えないほどみじかに感じるよ」

「ね〜、せっちゃんのエロエロが全然変わってないのはびっくりしたよ〜」

「まったくだ」

ハッハッハ

と、懐かしの三人で盛り上がっていると少女が割込んできた

「ちっが〜う!」

バンバン!

机を叩きながら少女は立て続けに話す

「なんかさっきから突っ込みどころ満載でしょうが!! あ〜も〜、ウキー!!」

「誰だ、この麗しい娘は」

「如月 (きさらぎ みお)ちゃんっていうこの私立如月学園の学園長、如月 陽一(きさらぎ よういち)の一人娘なんだよ? とっても可愛いでしょ〜? 高校入ってからの親友なんだぁ」

「うむ、気に入った、ところで澪ちゃん、もしかすると今朝会ったかな?」

「そうよ! あんたにまんまとスカートめくられたお陰で凄い恥ずかしかったんだから!! そして『澪ちゃん』とかきやすく私の名前を呼ばないで!」

「いいじゃないかいいじゃないかパンツの一枚や二枚、黄色のパンツはなかなか感慨深かったぞ」

「ムキーー!」

ガスッ

澪の手刀が精一の脳天に直撃した!

「グハッ! ……やはり、1000人にいるかいないかの逸材だ、もっと、もっと俺にショックを!!」

「き・も・ち・わ・る・い・わー!!」

ガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッガスッ

「ぉお! あれは伝説のお嬢20連コンボだ! あれを食らったら最後、別の世界を見るという……」

「グハッ! あぅぅあ! もっと、もっとぉ!」

精一は恍惚とした表情だ

「なんか別の意味の世界を見てるよ〜」

奈美はおろおろしている

「……グッ、ハァ、ハァ、ハァ、なんで、こいつ、こんなに、しぶといのよ……」

「せっちゃんを倒すのはなかなか至難の業だよ〜、なにせ中学の女子全員を相手にしても引けを取らなかったからね〜」

「まぁまぁ、そんなに誉めないでくれよ」

「……ハァ、それは、ほめて、無いわよ……ふぅ、半年ぶりにこの技を使ったから疲れたわ。しかし、こんな奴が奈美の元彼なんてね〜」

机に突っ伏しながら澪は言った

「せっちゃんはこんな奴じゃないよ! 立派な(おとこ)だよ!」

「はいはい、わかりましたよ」

手を振って降参のポーズを見せる

「奈美はとことん可愛い奴だな」

なでなで

「には〜」

「……懐かしいなぁ、このノリ」

「あんた達ってこんな疲れる奴らだったのね」

「まぁな、これが俺らのいつも通りだ」


その瞬間チャイムが鳴り今日の学校生活が終わった……

黄昏時にもかかわらず、あいも変わらずの少年少女

この後の展開は誰も知らない分からない

果たして死ぬのか生きるのか?


知れば後々Repentance(後悔)












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