3.───やっぱり・・・あなたを許さない
「ねえ優作」
有希子が優作に声をかけた。原因は優作は顔色が悪いからだ。
「どうしたの?気持ち悪いの?」
「大丈夫か?」
「いえ・・・大丈夫です。でも・・・この事件推理だけでは止まらないようだ。いろんな複雑な心境が混ざっている」
「優作」
優作は北海道の警部に聞いたことを思い出していた。
「あの七海って子は知ってますよ。あの事件は実は私もはっきりしていないんだ。あの子も可哀想に」
「そうですね。うちの息子にも見習うようにと言いたいですよ」
「不思議な事はまだありますよ。毎月彼女の家に仕送りのお金が来るんですよ。誕生日にはその年齢ぶんの花が贈られるんです。私のかんだとそれはきっと」
「父親と言いたい訳ですね」
「そう願いたい・・・彼女はその相手の場所が知りたくて何度も私に頼んだよ」
優作はため息を一つついて席を立った。
「そうですか・・・いや、いい情報をありがとうございます」
「いやいや、私も君ほどの有名小説家にあえて光栄だよ」
「いえ・・・警部さん」
優作は頭を軽く下げ出て行こうとした。
「しかし驚いたよ。君と同じことを聞きに来た高校生探偵が来たんだから」
「それは・・・誰でしたか?」
「それは・・・」
「そうですか」
静かな路地裏。コツコツと足音だけが奇妙に響いていた。菫の足が止まった。
「ん?」
「ここで話をしましょ」
「ああ・・・」
平次達は菫をTVでしか見たことが無い。でも菫が組織の顔をしていることは分かる。
「改めまして。私のことはご存知のようね」
「七海さんの反応からあなたが何かあると思っていましたから」
「ふーん」
菫は自分達と同い年。何故彼女は黒に染まるのだろうか?
「どうして・・・」
「私と七海は知り合いよ。小さい頃お母さんが母親を失った七海を引き取った頃からあの子とあたしは兄弟みたいに育ったわ」
「何故や?何故あいつは児童保護施設に」
菫の顔が歪んだ。でもその奥は悲しそうに・・・
「あいつはいつも一番だった。何でもあたしはあいつの・・・七海の何倍も努力してた。家庭教師も毎日のように。でも七海は違う!遊んでばかりであきれるほど。でも成績は一番。あたしよりも上なのよ!」
菫の目は怖かった。恨みや嫉妬の感情が入り混じっている。
「あたしはだから頑張った。壊れるくらい。でも・・・そして七海は景斗君も」
「景斗?」
「っ!あなた達には関係ない!私はあの子を絶対に許さない!」
「だからって・・・そんな事」
「あたしは正しいわ。お母さんの事をちゃんと聞いてる・・・それの何が違うの!?何が間違ってるの!?」
顔がぐちゃぐちゃだ。彼女は冷静の顔に戻した。
「あそこのビルがアジトよ。さっさとあの子を連れてって!」
「・・・一つ聞いていいですか?」
「何?」
「ほんとに・・・さっき言った事は真実ですか?」
菫は何も言わずその場を去った。
「どうしますか?」
「そやな・・・あの場合は強行やな。FBIの人に言わなあかんやろ」
「戻りますか」
「本当にここで合ってるのね。服部君」
「ああ・・・」
「服部すげーな」
コナンが身を乗り出して平次に笑いかけた。
「・・・喜ぶのはまだ早いで、工藤」
「あん?」
「服部君!」
「何だよ」
ジェームズがせきをした。
「まずFBIが突入する。君達はその隙に彼女達を救出してくれ」
「はい!」
コナンは脳裏に灰原の顔がよぎった。とうとう組織に行くんだ・・・でも。哀の正体を知ってるという事はジンは新一が死んだと思ってるのだろうか?
「とうとう組織に行くんやな」
「ええ。・・・本当に僕に助けられるのかな?」
平次は窓にもたれかかった。
「どうせ無理ですよ」
本堂は顔を伏せた。
「僕なんか彼女なんか助けられませんよ」
バシン。頬を打たれてひりひりする。
「好きなんやろ?好きなら好きってちゃんとせーな」
「服部君・・・」
「せやから・・・俺は七海を振った」
「え!?」
平次は遠くを見ていた。
「あいつはいい奴やで。でも多分あいつはライバルや・・・」
「絶対に負けたくない。最高のライバルやから・・・ごめんな」
「そう言ったのか?」
「うん・・・だからやけになってベーリーショートにしちゃったっ」
「男に近くなった」
景斗がケラケラ笑う。七海もつられて笑った。そして景斗は立ち上がり
「でも・・・」
七海の体を胸に引き寄せた。
「え?」
「俺はお前の事が好きだ・・・だから俺は組織には居させたくない。でもしょうがないんだ。ごめんな」
七海の頬に涙が伝った。
「景斗あたし・・・景斗の事・・・」
ドアの向こうに居た菫は走り去った。
───やっぱり・・・あなたを許さない
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