2.「さーてと・・・これからが本番だぜ」
「どう思います兄貴」
「ん?」
「シェーリーですよ。殺されると思ってビクついてんのかしんねーけど、反発の顔は何一つ見せない」
バーボンを飲むジン。その目はいつも警戒を表している。
「さあな、仲間を殺さないからやれと言っただけだ。俺は海藤七海よりあいつとつるんでいる男の顔を拝みたいがな」
「恋じゃないの?」
トーンの高い高飛車な声。ベルモットだ。
「何のようだ、ベルモット」
「ジン、人には恋に叶わないことはないのよ」
「ふん、あんな震え凍った子猫に・・・恋などあるわけない」
異様な空気、何時間も換気をしてない部屋に閉じこもっている哀。声一つ出さず研究を進めていた。ケースの中にネズミが横たわっている。
───工藤君。もし私が・・・解毒剤を開発できたらあなたは何て言うでしょうね
手の上に乗ったカプセルは一つだけ・・・
───きっとこう言うわ。『サンキュー灰原』とね
頭に浮かぶさまざまな言葉。解毒剤を渡したくない・・・そんな思いがよぎる。
「もう二日くらい月を見てないわね」
窓の無い部屋で呟いた。
「七海さん」
「本堂・・・平次」
前に七海が行かないように景斗が制した。
「七海・・・大丈夫か」
「う・・・ん」
顔を伏せた七海。平次と本堂の顔がゆがんだ。
「ふーん。服部平次ねぇー。なあ七海」
「え?」
急に眠くなった。口に何か当てられたからだ。耳元で小さな声で景斗はいった。
「お前あいつに告白しただろ?」
「え?」
そこで彼女の意識は遠のいていった。
「七海!」
「さーてと・・・」
バスケットボールをドリブルして景斗はゴールに入れた。
「これからが本番だぜ」
「くっ・・・ジョーカー」
「おっ。俺のこと知ってんのか?さすがは西の高校生探偵」
「お前の目的は何や」
「一体何のために」
景斗は笑った。ポケットから物騒な物を取り出した。
「けっ・・・拳銃!」
「おやすみ・・・大阪君そして瑛祐君」
バン!と音が響いた。
「服部君」
あれの拳銃はフェイクだった。煙幕で逃げられてしまった。
「おっ時間や。なあ本堂・・・行くか」
「ええ・・・」
時には逆らえず静寂な夜が迫っていた。
「そうですか・・・いや、いい情報をありがとうございます」
「いやいや、私も君ほどの有名小説家にあえて光栄だよ」
「いえ・・・警部さん」
北海道警察署の前に停めてある車の中にいたのは有希子と博士。優作は車に乗った。
「どうだった?優作君」
「ああ・・・いい情報を貰ったよ」
「新ちゃんに言わないの」
「いや・・・あいつにはまだ早い」
優作はしばらく黙っていた。
「よし・・・車を飛ばして大阪に行こう。その次は鳥取だ」
「鳥取?」
「そういえば新一が言ってたな鳥取にアジトがあるから向かうと」
「!・・・急ごう七海君の命も保障された訳でもないからな」
「でも・・・どうして大阪なの?」
有希子は車を発進させた。優作はタバコを一本吸って言った。
「どうせそのうちばれるはずだ・・・それに聞きたいこともある」
激しく舞台を照らすスポットと大音響のスピーカーが似合う舞台。そこに姫琴菫はいた。リズムを打つ観客達。姫琴菫の曲は大歓声で終わった。
「お疲れ様でしたー・・・あ・・・」
「ばかみたい・・・」
「あなた達誰・・・」
楽屋の前に立っている少年達。その瞳はまっすぐ彼女にぶつけられた。
「俺か?俺は服部平次。今では関西では名の知れた高校生探偵や」
「そう・・・ばかみたい」
「ん?」
菫は『待ってて』と言い。着替えて出てきた。服装から連想される色は黒。
「漆黒ですね・・・」
「そう言えるかしら・・・ここでは無理だから場所を変えましょう」
「どこ行く気や」
「あなた組織のアジトに向かうんでしょ」
この後とんでもない発言が飛び出した。
「ついて来なさい・・・案内するわ」
「っ!」
これは罠かそれとも・・・
二人は覚悟し後についてった。
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