序章
「どうせ無理ですよ」
少年は顔を伏せた。
「僕なんか彼女なんか助けられませんよ」
バシン。頬を打たれてひりひりする。
「好きなんだろ?好きなら好きってちゃんとせーな」
少年は一呼吸置いた。正義と言う言葉を容易に使うこの少年達を彼は許せなかった。
「お前は何でそんな年でこんなこと出来るんだ」
彼は顔をあげた。少年達と視線がぶつかる。出来ればこの場を逃げ去りたい。彼は口を開いた。
「分かるのか?」
「あん?」
少年の顔は苦しさに満ちていた。
「犯罪者の子供はなー。犯罪に染まるしかないんだ!」
彼女は顔をあげた。彼はどんなことを思っっていたのだろうか?
彼女は不安だった。真実を早く知りたい。だから教えて。
「ねえ、どうしてそんなに隠すんだよ。なあ!」
彼の肩を彼女は揺さぶった。彼は視線をそらした。
「何なの!私のお父さんって誰。一体何なの」
その先の真実を知ってるくせに何故聞くのだろう
「怖くないのか?」
「あたしこれでも度胸はあってよ」
「自信は?」
彼女は自信満々の笑みを浮かべた。彼は彼女の手をつかんだ。
「後にはぜってー戻れないぜ」
二人は同時に走り出した。
急に体が浮かんだのだろうか?急に空が目の前に見えた。彼の顔が見えなくなった。彼に自分の名前が呼ばれた気がした。
このまま自分は死ぬのだろうか?
その時大きな手が彼女の手をつかんだ。
「え?」
彼女は顔をあげた。 |